Die Päpstin 2012年再演へ

ドイツ・Fulda(フルダ)で2011年6月3日に初演され、8月14日に千秋楽を迎える”Die Päpstin”(女教皇)が、2012年7月6日から8月12日にかけて再演されることが決まりました。2011年シーズンにおいてほぼ完売の111公演で73,000人を動員し、更に緩和医療基金への10万ユーロの寄付を達成して大成功を収めたこの作品のプロデューサー、Spotlight MusicalproduktionのPeter Scholz氏が、地元紙Fuldaer Zeitungのインタビューに対し、”Die Päpstin”上演の舞台裏や、2012年にドイツ・Potsdam(ポツダム)での上演を目指している新作”Friedrich – Mythos und Tragödie” について語っています。

Scholz氏は”Die Päpstin”の成功の要因として、Donna W. Crossによるベストセラー小説が原作だったこと、上演地Fuldaが物語に関わりがあったこと、素晴らしい出演者に恵まれたこと、そして全く新しい作品を作り上げたことを挙げています。その他にもクチコミによる宣伝や、Fulda全体が一丸となって協力したことにも言及しています。

ただ全てが順調にいったわけではありませんでした。初日直後に病気で6~7人の出演者が同時に抜けてしまい、穴を埋めるのには苦労したそうです。特に主人公Johannaの相手役Geroldを演じるMathias Edenbornが靱帯損傷で休演せざるを得なかったことは大きく、急遽Dennis Henschelが代役を務めることになりましたが、幸い素晴らしい演技を披露し、Mathias Edenborn復帰後も、彼の休演日にはGerold役で登場することになりました。毎日何かしら調整が必要な事柄が出てきたものの、チームワークで上手く乗り越えることが出来たそうです。

劇中に出てくる修道院学校の場面には、大勢の子供達が登場します。夏の休暇中に子供達のスケジュールを押さえるのが大変なことは予想していたようですが、実際は前もって割り振っていた通りの出演スケジュールが守られたそうです。JohannaとJohannesの子供時代を演じた子役達の場合も同様で、中には舞台を去りたくない、もっと演じていたいと言った子達もいたほど。急に決まった稽古に際しても、電話一本で喜んでやって来てくれたそうです。

特定の出演者目当てに来たファンが、ファーストキャストが見られなかったことに不満を漏らしたことを除けば、ファーストキャストでない公演に文句が出たことはなかったそうです。公演自体は常に高い水準をキープし、熱狂的な反応で讃えられました。出演者が不足したために、一部の場面をやむなく短縮した公演が3~4回程あったそうですが、特に問題は起こらなかったようです。

CDの売れ行きも好調で、”Einsames Gewand”(孤独な衣)、”Das bin ich”(これが私)、”Ein Traum ohne Anfang und Ende”(始まりも終わりもない夢)といったバラード以外にも、”Zum Ruhme der Familie”(一族の名誉のために)やJohannaの父親が歌う”Wechselbalg”(取り替え子)が、観客から特に良い反応を得られたそうです。

“Die Päpstin”は各地から上演のオファーを受けているとのことですが、様々な条件を鑑みて、実現可能かどうか検討しているようです。2012年春にはStanislav Mosa監督の下、Brünnの市立劇場(Stadttheater)でさしあたり数公演が予定されているそうです。Spotlightはドイツ語圏での上演権を保持しているそうですが、外国での上演となると権利関係の問題が出てきます。2012年夏のFuldaでの再演に誰が出演するかはまだ決まっておらず、キャスト及びスタッフは新たに集めることになるようです。とはいえ完全に新しいチームになることはないとScholz氏は考えています。

一方Potsdamで上演予定のFriedrich der Große(フリードリヒ大王)を題材にした新作ミュージカルについては、慎重な姿勢を見せているScholz氏です。スポンサーが見つかるか、当地での関心がどれほどのものか等、調査中とのこと。2012年はFriedrich der Großeの生誕300年に当たる記念の年なので、初日は2012年6月1日を考えているそうです。もし”Die Päpstin”再演と平行して新しいプロジェクトを進めることになった場合、現地である程度権限を委譲できるスタッフや、他の作曲家や制作者等を集める必要が出てきます。ただやはり本質的な問題は、当地での関心を十分に呼び起こせるかどうかで、わくわくすることではあるけれども、大きなリスクもはらんでいます。たとえ既に多くの労力を注いでいたとしても、万一の場合はプロジェクトを中止することもあり得ます。Scholz氏曰く、破産を申請せざるを得なかった制作会社は数多くあり、一旦退場した者は再び表舞台に立つことはないのです。

期待していた”Die Päpstin”の再演が決まり、嬉しい限りです。見る側としては、もし2012年夏にTecklenburgでの”Marie Antoinette”上演が正式に決まった場合、Sabrina Weckerlinがどちらに出るのかが気になります。また地方発ながら新たなプロジェクトに挑戦し続け、成果を上げているSpotlight Musicalproduktionには、是非ともFriedrichミュージカルを実現して貰いたいと願っています。

“Die Päpstin”の内容に興味がある方は、2011年6月のDie Päpstin観劇記をご覧下さい。

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