Tanz der Vampire St. Gallenキャスト発表(2017年2~5月)

Theater St. Gallen

“Tanz der Vampire”(ダンス・オブ・ヴァンパイア)が1997年にWien(ウィーン)で世界初演を迎えてから20周年に当たる2017年、遂にスイスでも上演されることになりました。スイスのミュージカルのメッカ、St. Gallen(ザンクト・ガレン)のTheater St. Gallenで2017年2月から5月にかけて行われる公演には、既に各所で噂が流れていた通り、Thomas BorchertがGraf von Krolock(クロロック伯爵)役で出演します。他にもSarah役のMercedesz Csampai、Chagal役のJerzy Jeszke、Rebecca役のAnja WesselといったTdV経験者の名前がキャストに挙がっています。プロイセン国王フリードリヒ2世の若き日を描いた”Friedrich – Mythos und Tragödie”(フリードリヒ – 神話と悲劇)に、青年Friedrich役で出演していたTobias BieriがAlfredを演じることが個人的には興味をそそられます。

Tanz der Vampire

Graf Krolock: Thomas Borchert
Sarah: Mercedesz Csampai
Alfred: Tobias Bieri
Professor Abronsius: Sebastian Brandmeir
Chagal: Jerzy Jeszke
Magda: Sanne Mieloo
Herbert: Christian Funk
Koukol: Thomas Huber
Rebecca: Anja Wessel
Ensemble: Christoph Apfelbeck, Juliane Bischoff, Silke Braas-Wolter, Philipp Dietrich, Gerben Grimmius, Philipp Hägeli, Thomas Höfner, Anna Katrin Naderer, Anouk Roolker, Nico Soller, Vanessa Spiteri, Samantha Turton, Pamela Zottele

St. Gallen版ではドイツ語圏での上演としては初めての新演出になることが話題になっています。原作映画『吸血鬼』(The Fearless Vampire Killers)で自ら吸血鬼退治の助手Alfred(アルフレート)役を演じ、Wienでのミュージカル化に当たって監督を務めたRoman Polański(ロマン・ポランスキー)の右腕で、近年の上演では実質的に監督の立場にあったCornelius Baltus氏が、当初はSt. Gallenでも監督を務めると思われており、準備が進んでいるような発言を本人もツイートしていたのですが、突如「こんなに準備した挙げ句にSt. GallenでのライセンスされたTdV上演はなくなった!」と呟いて、以後ぱったりとこの話題に触れなくなってしまいました。このツイートの真意を測りかねていたところ、新演出での上演及び監督がUlrich Wiggers氏に変更されたことが発表されました。スイスのメディアFM1TODAYの記事によると、劇場側はBaltus氏が意図していたライセンス版の演出を検討したものの、最終的には予算を大幅に超えることを理由に不採用を決めたそうです。

参考記事

«Tanz der Vampire» im Theater St. Gallen abgesagt?

Neuinszenierung von «Tanz der Vampire» in St. Gallen

新演出が検討課題になることは当初から明らかだったと言う劇場側が、最終的に監督を任せたUlrich Wiggers氏は、2016年夏にドイツ・Tecklenburg(テクレンブルク)でアーサー王伝説を題材にした”Artus”の演出を手がけた人物。”Artus”は元々Theater St. GallenがFrank Wildhorn(フランク・ワイルドホーン)に委嘱して制作したオリジナル作品で、Tecklenburg公演はSt. Gallen以外での初めての上演でした(同時期にオーストリア・Staazでも上演されましたが、Tecklenburg公演の方が僅かに早く開幕しました)。St. Gallen版”Artus”が極彩色のタペストリーから抜け出したような美男美女が集う中世の騎士物語だとしたら、Tecklenburg版は土埃の舞う戦場で汗と血にまみれた男達が剣を交える泥臭さが魅力的な、オリジナルとは全く違う方向性を打ち出した作品となりました。私は両バージョン共観劇しましたが、Tecklenburg版には一つの作品が異なる演出でこうも違った表情を見せるものなのかと唸らされました。TecklenburgでWiggers氏が創り出した驚きと興奮に満ちた空間が、果たしてSt. Gallenの”Tanz der Vampire”でも出現するのか、想像しただけでも大変気になります! 2017年1月の稽古開始を前にして、既に舞台装置の制作に入っているとのこと。衣装も合わせてどのようなビジュアルになるのかが早く知りたいです。

Theater St. Gallenで催される公演の演奏は、20カ国の出身者から成る総勢約70名の団員を擁するSinfonieorchester St.Gallenが担っています。”Tanz der Vampire”での音楽演奏は”Tanz der Vampire-Band”となっていますが、何名編成のバンドになるのか、こちらも気になるところです。

このブログでも何度か紹介しているTheater St. Gallenは、スイス・Zürich(チューリッヒ)空港から直通列車で1時間のSt. Gallenにあり、意外にアクセスは良いです。電車の時刻表はスイス国鉄SBBのサイトで検索出来ます。ドイツの友人曰く「ドイツ国鉄は信用出来ないけれど、スイス国鉄は信頼出来る」そうで、国内路線では電車の遅れは殆どないと聞いています。ドイツ・Stuttgart(シュトゥットガルト)からも電車で4時間で行くことが出来ます。

Theater St. Gallen

St. Gallenの駅前から劇場までは徒歩10分ほど。夜は人通りは少なくなりますが、静かな街で女性が一人で歩いても大丈夫な雰囲気です。劇場から500メートルほどに位置するRadisson Blu Hotel, St. Gallenは劇場関係者がよく利用しているそうです。駅前のHotel Walhallaは朝食が豪華でお勧めです。旧市街の中にある機能的なデザインのHotel Domは部屋は小さめですが清潔で快適に過ごせます。スイスはホテルが総じて高めですが、このホテルの一部にあるような共用バスルームの部屋はお得に宿泊できます。St. Gallenのホテルはそれほど多くはないので、早めの予約がお勧めです。

Theater St. Gallenの座席配置は一風変わっています。私も最初にチケット予約した際には何処が良席なのか今ひとつつかめませんでした。

Theater St. Gallen

写真から分かるように、欧州でよくある馬蹄形の劇場を現代風にアレンジした座席配置となっています。客席が階段状になっており、後方でも見やすいのはありがたい仕様。オーケストラボックスが広いので、最前列と舞台の間には割と距離があります。コンクリート打ちっ放しの劇場外壁がやや冷たい印象を持つのとは反対に、木のぬくもりを感じる内装からは北欧モダン風な印象を受けます。舞台だけでなく、建築も注目して欲しい劇場です。

Theater St. Gallen

Theater St. Gallen

Theater St. Gallen
Museumstrasse 24
9004 St. Gallen
Switzerland
Tel: +41 71 242 06 06
http://www.theatersg.ch/

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