2011年海外観劇記補足

2011年の海外渡航は4回、うち2回が観劇旅行でした。6月の旅行の観劇記が書ききれなかったので、簡単に感想を挙げておきます。

・We Will Rock You(Berlin)
現在ドイツ各地をツアー中の”Elisabeth”でTodを演じているMark SeibertがGalileo役。その昔、Wien(ウィーン)のRaimund Theaterで上演されたフランスのお色気SFコミックが原作の”Barbarella”に盲目の天使Pygar役で出ていたときに、ちょっと格好いいなあと目をつけたのが最初の出会い。続いてLukas PermanとMarjan Shakiが出演した”Romeo & Julia”のTybalt役でワイルドな魅力にやられました(笑)。その後ドイツに活動の場を移したMarkが出演した”Wicked”や”Der Schuh des Manitu”は見る機会がなく、やや心から消えかかっていたのですが、せっかくBerlin(ベルリン)に来たのだから、彼が出ている終演間近の”We Will Rock You”を見てもいいかなと思った数時間後に、彼が”Elisabeth”ツアー公演でTodを演じることを知ったのでした。

“We Will Rock You”は「楽曲はクイーン、自由な音楽が禁止された未来社会が舞台」という薄ぼんやりとした予備知識しかなく、更にスラング満載の早口の台詞は私の能力では聞き取り難かったので、物語の詳細な理解は諦めて、Markの格好良さと笑顔を堪能する作戦に切り替えました(笑)。Scaramouche役のJessica Kesslerがベッキーに似た感じで可愛かったです。隣の席のクッションで座高をかさ上げしていた、クイーンファンらしい小学生くらいの男の子がノリノリだったのが印象的でした。

・Passion(Dresden)
Stephen Sondheimの”Passion”がドイツ初演されるというので、DresdenのStaatsoperette(市立オペレッタ劇場)へ。劇場が市内中心部からはずれたところで、しかも道路工事のために交通機関の運行状況や停留所が通常と異なる中、電車とバスを乗り継いで人に道を尋ねつつようやく辿り着きました。

イタリア映画”Passione d’amore”を元にしたという話は、19世紀イタリアが舞台。ハンサムな兵士Giorgioが、不倫相手の美しい人妻Claraに後ろ髪を引かれつつ赴任した田舎で病弱な女性Foscaに出会い、彼女の病的な振る舞いと執拗な求愛に悩まされつつも、いつしか彼女の激しい思いに絡め取られていくという内容でした。オランダで上演された際は、人妻Clara役をPia Douwesが演じたそう。Dresden(ドレスデン)では”Elisabeth”来日公演にも参加していたMaike Switzerが同役で出演していました。冒頭のGiorgioとClaraの密会シーンで、観客に背を向けていたとはいえ、Maikeが全裸で立ち去る箇所があったのにはびっくり! 旧東独では裸になる演出が多いとドイツの友人が言っていましたが・・・。Fosca役のVasiliki Roussiはひっつめた黒髪に黒い服、小柄で陰気な雰囲気で決して美人とは言えない風貌でしたが、Giorgioの愛をすがりつくかのように求める姿が鬱陶しくも何故か心に残り、最後は素晴らしい演技に感動しました。残念ながら客入りはよくなかったものの、大変いい舞台でした。

・Wien版Tanz der Vampire前楽
BerlinからWienへのAirBerlinフライトが、搭乗時刻になって機材変更のため遅延と言われ、案内された新たな出発時刻は2時間40分後の次便のものでした! 搭乗待ちのお客さんが少なかったので、どうもフライト自体がキャンセルになったようでしたが、アナウンスではあくまで遅延。チェックイン手続き終了時に1時間遅れと言われ、5 EURのミールクーポンを渡されていましたが、フライト自体がなくなるとは言われず、案内表示にも出発時刻の変更が出ていなかったので、何かの間違いかとも思いましたが、最悪の事態になってしまいました。他社便も尋ねてみましたが、指定された便より前のフライトはもうないと言われ、余裕で到着するはずがどう考えても開演に間に合わないことに。

到着後、空港からタクシーで劇場直行。トルコ人の親切な運転手さんが飛ばしてくれたのと、道路が空いていたおかげで20分で到着しましたが、開演時刻を過ぎていたため、しばらくロビーで待つようにと言われました。LukasとMarjanの歌声が聞こえる中、ロビーに出る前にスーツケースをクロークに預ける手続きをしていたところ、何と前方から係員と共にKrolock伯爵がしずしずと歩いてきました! 客席後方からの登場シーンのスタンバイだと思った瞬間、伯爵と目が合いました。薄くニヤッと口元に笑みを浮かべると、係員が開けた扉の向こうにDrew伯爵は消えていきました。遅刻したのは残念でしたが、ロビーでの思わぬ邂逅はいい思い出になりました。結局教授の早口ソング”Wahrheit”の前に入場が許され、歌が終わって拍手が鳴り続く中、座席に案内されました。千秋楽は招待客のみの公演で一般へのチケット販売は直前まで行われなかったため、ファンにとっては実質的に千秋楽だった公演は大変盛り上がり、赤いブーツのダンスシーンでは感極まったMarjanが歌えなくなるほどでした。

終演後の楽屋口は大混雑。そんな中次々と現れたキャストは、写真やサインを求めるファン達に快く応じていました。

“Tanz der Vampire”は2012年8月末までの予定で現在Berlinにて上演中。ドイツでの上演はこれでひとまず終了、Wienでも数年は再演はないと思われるので、ドイツ語圏でのTDV観劇を考えている方はお急ぎ下さい。

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5 Comments

  1. Spaさん
    お久しぶりです。サクです。
    いつもDrew Sarich氏の情報をいち早く発信してくださり、ありがとうございます!!という気持ちで拝見してます。

    Spaさんのブログを拝見していると自分がまるでそこで旅行したかのように、ウキウキしてきます。Drewの出番前にニヤリと目があったら!私などは大興奮で席につけないかもしれないです。すてきな旅行記をありがとうございます。

    今年はウィーン版のRudolfが日本でも上演されますね!Drewが来日しないかな…なんて期待しているのですが。

    今年も素敵な舞台に沢山巡り会われますように!!

    (私もブログを始めてみました。レインボーサニー名でダイエットブログなのですがよろしければいらしてください)

  2. サクさん、お久しぶりです。お元気でしたか?

    TDV前楽、遅刻してしまったのは残念でしたが、出番前のDrewとの貴重な一瞬はもうドキドキものでした! 係員が開けた扉の向こうに消え去るDrewの後ろについていきたかったです(笑)。

    Drewといえば、彼のライブが明日1月23日にBerlinのRoter Salonで開かれます。オールスタンディングで、Drewのロックな一面が堪能出来るライブになりそうです。ドイツの友人が行くそうなので、感想が楽しみです。Drewにも是非来日して貰いたいですね。出来れば奥様のAnn Mandrellaと一緒に! そのときはサクさん、何があっても駆けつけて下さいね!

    最後になりましたが、ブログ開設おめでとうございます。後ほどお邪魔させて頂きますね。

  3. Spaさん

    早速ありがとうございます!!お優しいコメント、大感激でした。拙いブログですが見て下さって本当に嬉しいです。
    おかげさまで元気です。Spaさんもどうかお身体ご自愛くださいね。
    ハプニングはドキドキされたと思いますが、別の意味でドキドキですね。何だかSpaさんのドキドキ感が伝わってきて、いつも書かれる文章が大好きです。
    なんと!今日Drewのライブがあるのですね。ご友人が楽しんで来られますように祈っています。奥様もとってもおきれいで実力派のようですから、お二人でライブなんてどうでしょう。
    それにしても最近CDを出されたり、Drewは大活躍ですね。
    もし来日したら、絶対駆けつけますよ。その時はぜひSpaさんに感謝をお伝えできたらなぁなんて。そんな日が来るといいな。
    これからも楽しみに拝見してます。

  4. サクさん

    Drewのライブに行った友人から、最高だったと興奮のコメントがやってきました(笑)。ちゃっかりDrewとツーショットも撮っていましたよ。何故かYouTubeに早速ライブの映像が上がっています。幾つかありますが、取りあえず一つリンクをお知らせしておきますね。

    http://youtu.be/Y5GLipdnPs8

    以前奥様のAnnがインタビューでDrewと共演したいと語っておられました。ラブラブカップルの共演、是非観てみたいものです。日本でDrew祭りが出来たら嬉しいですね!

  5. spaさん

    お返事いただき、見てくださってありがとうございます。

    最高のライブ!ご友人楽しまれたようですね。ツーショットまで・・・!!羨ましいけれど私だったら倒れそうです。
    教えてくださり本当にありがとうございます。ノリノリの会場の雰囲気が伝わり、ワクワクしました。

    ほんとに、日本でDrew祭りwith Annさん希望です。願えば叶う!と信じたいです。

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