Liebe Stirbt Nieバックステージツアー(2016年3月)

2016年3月、ドイツ・Hamburg(ハンブルク)のStage Operettenhausで上演中の”Liebe Stirbt Nie“(Love Never Dies)のバックステージツアー(Backstageführung)に参加しました。

ツアーは”Liebe Stirbt Nie”公式サイトのTICKETS & INFOから予約出来ます。参加費は19.50 EUR、原則として金曜の16:30及び日曜の11:45開始、所要時間45~60分。劇場側の都合により開催されない日もあります。ツアーはドイツ語のみです。

当日は劇場ロビー集合。時間厳守、遅刻した場合は入れて貰えません。私が参加した日は当日チケットを買った参加者がいたので、空きがあれば飛び込みも可能なようです。開始に当たり、係員からツアーの概要が説明され、入場時に首から下げる見学者用パスを受け取りました。写真撮影・録音は禁止です。若い男性ガイドと、年配の女性ガイドの二人が同行しました。

客席に荷物を置き、まずは舞台下手側の廊下突き当りの扉から舞台へ。ロビーや客席等、赤い絨毯が敷かれている部分は劇場の表舞台に当たるVorderhaus、舞台袖への通路等、絨毯がないコンクリートの床の部分は舞台裏に当たるHinterhausと呼ばれています。舞台下手奥にはConey Islandのサーカスに登場する回転木馬、巨大な二つの頭、前輪が大きく背の高い自転車、クリスティーヌ達を迎えに来る馬車、クリスタルタワーの場面に登場する骸骨の騎手と馬等が置かれています。更に奥にはメイク用の鏡台が見えました。

回転木馬や桟橋は人が乗っても大丈夫なように頑丈に作られています。ハンブルク版のセットはオーストラリア・メルボルンから運ばれてきましたが、Operettenhausはメルボルンの劇場より小さいため、色々手が加えられています。馬車はそのままだと回転するスペースが足りないため、片方の車輪を小さくしています。馬車の近くには自転車に乗るための数段の昇降台が置かれていました。背が高い自転車の乗り手と骸骨の騎手は倒れたら自力では起き上がれません。仮に倒れたらショーストップになってしまうそうです。

舞台を縁取るファントムの仮面、メルボルンでは鼻が飛び出していましたが、ハンブルクでは幕の奥に収まらないので鼻はカットし、上に曲げられました。ガイドが持って来た奥の壁に立てかけてあった白く長い物体は、カットされたファントムの鼻。グラスファイバー製で裏返すと鼻先には詰め物がなされていますが、残りの部分は空洞になっていることが分かります。

上手袖にはファントムの登場場面に使用されるオルガンが載った台が置かれていました。空中に釣り上げられるため、落下しないように譜面からインク壺まで全てが固定されています。万一に備えてオルガンのサイドにロープを固定する金具がついており、台が浮上する際、ファントムはこの金具に命綱をつけることになっています。ツアー後の公演でファントムの背後にロープが付いているのが見えました。冒頭に登場するクリスティーヌの肖像画は、セカンドキャストの時も同じ絵が使われているそうです。

2幕冒頭のバーのセット、カウンターに沿って裏に回ると反対側はクリスティーヌの楽屋になっています。バーの扉の裏側は楽屋の扉になっているわけです。ファントムが出現する鏡は、ドラマでよく警察の取り調べ場面に出てくる、こちらからは見えるが反対側からは見えない特殊なもの。光の当て方によって見え方が変わります。

Operettenhausはハンブルクの劇場で唯一回転舞台を有しています。床面には大道具の位置指定用に白いテープが所々に小さく貼られています。美術担当者はこんなテープを貼られると美観を損ねるので、本音は嬉しくないそう。舞台の縁には照明隠しのガーゴイル像が並んでいます。昔の劇場では舞台の縁に沿ってロウソクが立てられていました。照明はサイドと上方、客席後方上部には俳優の動きに合わせて移動出来るムービングライトが設置されています。舞台際に引かれたラインは、鉄製の防火壁が降りる位置を示すサインです。このラインは決して跨いではいけません。ドイツ語圏の劇場には全てこの鉄製のカーテンが備えられており、緊急時には舞台と客席を完全に遮断することが出来ます。舞台から上空を見上げると、サーカス小屋の赤と白のカーテン等の吊り物が見えます。舞台袖には吊り物を動かすロープが下がっています。

1幕ハイライトの”Wie schön”(Beautiful、とってもきれい)から”Wo die Schönheit sich verbirgt”(The Beauty Underneath、美の真実)にかけては、スロープやクリスタルタワーが動く中、俳優達が移動しダンスするので、事故が起こらないようタイミングを合わせる稽古に時間をかけたそうです。2015年8月下旬から稽古開始、10月中旬に開幕しました。タワーの中はかなり暑く、10~15分しか保たないとのこと。俳優達の安全のためにタワー裏側の上部に空気口が開いています。最も長くタワーに入っているのは、1幕ラストに登場するマダム・ジリーです。

舞台袖には衣装替えのためのブラックボックスがあります。上演中は極限まで明かりを落とすため、気替え中はボックス上部の左右にある青いLEDランプのみが頼り。衣装はキャスト毎に使用順に左から右に掛けられています。その日に使わない衣装はボックス上部に吊り下げられており、ちょっとしたクリーニング店のような印象でした。セカンドキャスト、サードキャストにもそれぞれのサイズに合わせた衣装が用意されています。例外はグスタフ。衣装のサイズに合う身長の子供が選ばれるそうです。クリスティーヌの孔雀の衣装は長さ22メートル、一点物で相当高価だそうですが、値段は教えて貰えませんでした。別の場所に保管されているそうです。メインキャストの楽屋は舞台がある部分とは違う区画にあります。

舞台見学の後はかつらの部屋へ。かつらは全て本物の人毛で作られており、公演の度に洗って髪型を整えています。最も手がかかるのはクリスティーヌのかつら。禿頭のかつらも2つあります。一つはファントム、もう一つはSquelch(スケルチ)。今のスケルチのファーストキャストのPaul Taboneは、メルボルンでも同役を演じており、初演時にこの役を演じるに当たって頭を丸めたそうです。ハンブルクでもかつらを被るのが嫌なのでそのまま禿頭で通しているそう。セカンドキャストは髪を残したい派だったので、公演中はかつらをつけているそうです。

最後に客席で女性ガイドから劇場の歴史について簡単な説明がありました。Operettenhausは1841年の創建当初は3000人収容の大劇場だったそうです。大き過ぎて満席にならないので、改修を重ねて今の客席数(最大1335席)になったとのこと。これまでに”Cats”や”Mamma Mia!”、”Sister Act”のドイツ初演が行われています。”Ich war noch niemals in New York”(ニューヨークに行きたい!!)及び”Rocky – Das Musical”はこのOperettenhausで世界初演の幕を開けました。どの席からも聴こえ方が同じになる音響設備が”Rocky – Das Musical”上演時に導入されました。オーケストラボックスの一角は音量調節のためにアクリル板で仕切られ、打楽器が置かれています。”Liebe Stirbt Nie”では舞台から客席にかけて張り巡らされている電線に、装飾用のLED電球が1000個使われています。説明を受けている間も、舞台上ではスタッフが公演の準備を入念に行っていました。

ツアーで見た内容に関して後日質問があれば、見学パス裏のホットラインまたはメールで受け付けるとのことでした。

舞台からの客席の眺めを体験し、セットや衣装を間近で見ることが出来た1時間、大変興味深く充実したひとときでした。”Liebe Stirbt Nie”は今のところ2016年9月25日までの上演が決まっています。ハンブルク版キャストによるTVスポット動画で作品の世界に触れてみて下さい。

ハンブルク版観劇の前にメルボルン版を見ておくと予習になります。基本的な流れは同じですが、劇場サイズの違いによる演出の変更が結構あります。

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