Tanz der Vampire観劇記(2010年4月及び5月)

2010年4月末から5月始めにかけて、Wien(ウィーン)・Ronacher劇場で上演中の”Tanz der Vampire”を、計3回観劇しました。ウィーン再演版は2009年10月に1回見ていましたが、KrolockがセカンドのAlexander di Capriだったので、一度はThomas Borchertで見たいと思っておりました。

まずはウィーン到着初日。フライトは17:45ウィーン着となっていましたが、実際にはその時間には既に空港内を歩いており、無事18:05のCATに乗ることが出来ました。CATのチケットは公式サイトのオンライン割引で購入済みだったことも、時間の節約になりました。ホテルに荷物を置いて、劇場に着いたのは開演5分前。キャスト表を見る余裕もありませんでしたが、何とか間に合いました。

あまりにもタイトなスケジュールだったので、万一を考えて2階(1. Rang)右手前から2番目のボックス席最後列、最も安い10 EURの席を取っていたのですが、これが座ると舞台が全く見えない席。後ろがいないのを幸いに、1幕は椅子の足載せ部分に立って見ました。しかし舞台右半分は、張り出したボックスに隠れて全く見えず。SarahとAlfredのデュエットは、Sarahの一人舞台のようでした(苦笑)。宿屋の2階と視線が同じ高さだったので、Magdaに言い寄るChagalが良く見えました。2幕は舞台に一番近い隣のボックス席最前列3席の中央が空いていたので、両隣の人に断ってそちらに移りました。こちらは斜め上から見下ろす形になり、手前に当たる舞台右端が見えないことを除けば、文句なし。ボックス席では皆さん空いてる席にどんどん移動するので、遠慮せずに移ることをお薦めします。前の席が空いている場合は少々厚かましく思えても移っておかないと、突然前に背の高い男性が移動してくる危険性があります。

最初に座ったボックス席からの眺め。最後列の椅子は前列よりも座面が高くなっていますが、着席するとこの通り何も見えません!

Krolockは高い声が聞こえた時点で「あ、Thomasじゃない」。前回と同じく、Alexander di Capriでした。Alexanderは長身で声も通り、なかなかいい役者さんですが、声が若くて明るめなので、Krolockが持つ影の部分が物足りなかったです。LukasのAlfredはマヌケぶりに磨きがかかっていました(笑)。長身の彼が、Sarahの部屋を覗こうと腰をかがめて壁の節目に目を寄せている格好は、観客の笑いを誘っていました。SarahはSt. Gallenの”Der Graf von Monte Christo”でValentine von Villefortを演じていたBarbara Obermeier。ちょっと低めの声で、演技も歌も良かったのですが、2回目にMarjanを見て「Marjanの方が断然上手い!」と思ってしまいました。やはり回数をこなしている分、Marjanの方が演技が細かく、Barbaraの時はあまり感じられなかったSarahの小悪魔的な部分が全開でした。

2010年4月27日(火)19:30
Graf von Krolock: Alexander di Capri
Professor Abronsius: Gernot Kranner
Alfred: Lukas Perman
Sarah: Barbara Obermeier
Chagal: Martin Planz
Rebecca: Katharina Dorian
Magda: Anna Thorén
Herbert: Marc Liebisch
Koukol: Thomas Weissengruber

2回目は別の予定が入る可能性があった晩に時間が出来たので、駄目元で開演30分前からの当日券販売に挑戦してみました。開演40分前に劇場に到着すると、窓口には既に長蛇の列。20~30人はいたでしょうか。窓口のお姉さんに「この分では無理でしょうか?」と尋ねると、「難しいかもしれませんね」とのお答え。しかし結果的には開演10分前に、本来なら109 EURの黄色のカテゴリーの席を、Musicalclub会員割引11 EURで購入できました。窓口で「半額での購入ですか?」と聞かれたので、会員割引チケットの有無を聞くと、会員証を見せるように言われました。席は向こうが「とてもいい席があります」と、2階(1. Rang)中央やや左寄りのボックス席2列目を指定してきました。時間がなかったのでそのままOKし、席に急ぎました。

ボックス席の最前列と私の横の計3席は、開演時間が近づいても空いたまま。前奏が始まるか始まらないかのタイミングで、後ろのカップルが動きそうな気配を見せたので、一瞬の差で前の席への移動に成功しました(笑)。2列目は段差がないので、前に人がいると全く見えなくなったはず。厚かましく行動したおかげで、遮るものもなく舞台全体を見渡すことが出来ました(笑)。1幕終了後に振り返ると、同じボックスのお客さんは全員一つずつ前に移動していました。皆考えることは同じです。

この日もKrolockはAlexander。前日に見た友人は、Thomasに当たったそうです。SarahはMarjanでした。舞台全体は良く見えましたが、距離があったので顔は判別出来ませんでした。

2010年5月1日(土)19:30
Graf von Krolock: Alexander di Capri
Professor Abronsius: Gernot Kranner
Alfred: Lukas Perman
Sarah: Marjan Shaki
Chagal: James Sbano
Rebecca: Maike Kathrin Schmidt
Magda: Anna Thorén
Herbert: Marc Liebisch
Koukol: Thomas Weissengruber

そしていよいよ3回目。今日こそはとキャスト表を見ると・・・またまたAlexander!! あまりに予想外の展開に、思わず「ええっ!?」と声を上げてしまいました。帰国後Alexanderのサイトを見ると、翌日も彼が出演していたようですが、5月1日は予定に入っていませんでした。急な変更だったのでしょうか? 一度くらいはThomasで見てみたかったのに、残念です・・・。

2回目は当日キャスト表を貰い損ねていたので、帰国後友人に送ってもらったのですが、観劇3回目にMagdaを演じていたMaike Kathrin Schmidtが、前日Rebecca役で出ていたことに、後から気がつきました。宿屋の女房と愛人を同じ女優さんが2日連続して演じるとは、凄い配役です。この日は前から2列目の中央やや左寄りで、かぶりつきで大変良く見えました。やはり表情がはっきり見えるとぐっと面白く感じられます。HerbertのMarc Liebischの少々やり過ぎなくらいの変態ぶりがツボでした(笑)。

2010年5月3日(月)19:30
Graf von Krolock: Alexander di Capri
Professor Abronsius: Gernot Kranner
Alfred: Lukas Perman
Sarah: Marjan Shaki
Chagal: James Sbano
Rebecca: Cornelia Braun
Magda: Maike Kathrin Schmidt
Herbert: Marc Liebisch
Koukol: Thomas Weissengruber

ウィーン再演版は、全体としてはオリジナル版に比べて過剰さが目に付きました。曲は全体的に、より派手でロック調なアレンジ。デザイナーKentaurによる舞台美術は、二階建ての宿屋やKrolockの館、悪夢の場面の天蓋付きベッドや吸血鬼の貴族達の肖像画等、基本ラインはオリジナルと大きくは違わないのですが、オリジナルのコンセプトが西欧的で優雅な洗練された貴族趣味だとすると、より東欧的で土着的な印象を受けました。地下霊廟への通路のゴテゴテ感の一方で、吸血鬼達の棺桶は意外にあっさりして安っぽい造りだったりと、雑多な感じがしました。舞台構造上の制約なのか、基本的に回転舞台や吊り物が多用され、オリジナルで非常に印象的だった舞踏会の場面で下からせり上がってきた螺旋階段は、舞台奥からの移動になり、Sarahも階段上からの登場ではなく、舞台奥から歩いてくる形で、Raimund Theaterでのダイナミックさが薄れてしまっていたのが残念でした。

美術と同じくKentaurによる衣装は、吸血鬼の貴族達の東欧的なデザインはなかなか良かったと思うのですが、伯爵の衣装はやや装飾過多で、ジャケットはどことなく中国風に見えました。頂けなかったのは、悪夢の場面のゾンビかモンスターを思わせるダンサーの衣装。ここは何度見ても衣装のグロテスクさが目についてしまいました。

劇場自体の雰囲気は、客席の天井画やシャンデリアは豪華ですが、Ronacherのパイプ椅子を思わせるデザインの平土間座席は、吸血鬼の世界にはちょっと合わない気がしました。ボックス席はTheater an der Wienのそれを思い出すクラシカルな造りですが、基本的に舞台を見るのに適した構造ではないので、改修の際、Raimundのようにボックス席の仕切りがない形に変更すればよかったのにと思いました。

再演版はコメディー色が強く、永遠の命を謳歌する吸血鬼のパワフルさが前面に出ていました。個人的には今でもファンの間で唯一無二のKrolockと評判の高い、オリジナルキャストのSteve Bartonが”Die Unstillbare Gier”(抑えがたい欲望)で見せた独特の哀感が非常に心に残っているので、こうした影の部分が再演版ではあまり感じられなかったのは残念ですが、これが2010年のヴァンパイア・ワールドだと割り切って見れば、十分楽しめると思います。Lukasは11月まで契約があると言っていたので、Lukasファンの方は秋にもまだチャンスがありますよ!

ちなみに2010年5月初旬に発売予定となっていた再演版2枚組CDは、現時点ではまだ発売日が決まっていないようです。

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5 Comments

  1. spaさん、お帰りなさい!

    私もオリジナルの舞台装置・美術の方が好きです!
    ブダペストでも見たのですが、ウィーン再演版は、ブダペストによく似ているというか、同じようです。だから、東欧的で土着的なんでしょうね。伯爵の衣装は、ハンガリーぽく思いました。ブダペストで見てなければ、あの衣装は確かに中国っぽく見えたと思います。奥から出てくる螺旋階段は、教会の中にある説教壇に続く階段に見えます。伯爵は十字架がダメなのに、教会の階段で良いのかと思いました。ちなみに、去年の9月のウィーン再演の一般の初日は、階段が出てくなくて、伯爵が横から歩いて登場しました。盆の調子も悪かったです、半分しか回らなかったり。
    また、Lukasはマヌケな演技の割には・・・見た目がカッコよすぎる!と思いました。もじゃもじゃ爆発頭は、お嫌いなのでしょうか?それなら思い切ってマッシュルームカットとか。Marjanは田舎娘の割には洗練された美人すぎる・・・。
    私にとって、複雑な思いのウィーン再演版です。なんだかんだ言って、また観に行きますが。

  2. えりさん、ブダペスト版との比較コメントありがとうございました。

    ウィーン版の舞台美術・衣装を担当したKentaurは、ハンガリー版も手がけていたそうなので、同じテイストなんですね。螺旋階段、言われてみれば確かに説教壇にそっくり! 私としてはもっと巻きを入れて欲しかったです。舞台装置の不具合は、ある意味ウィーン名物ですが、初日にやってしまったとは!

    Lukasがマッシュルームカットになると、Romeoっぽくないですか? Sarahはあまり田舎っぽいと、舞踏会の場面が辛くなりそうなので(笑)、バランスが難しいですね。

    次に行かれるのは秋以降ですか? Thomasを見損ねたので、チャンスがあればもう一度見たいですが、資金難なのでCDで我慢することになりそうです。

  3. 巻きの甘い中途半端な螺旋階段のてっぺんの小さな屋根が、ますます説教壇に似ています!舞台装置の不具合は、ウィーン名物なんですか?!Vは大掛かりな装置なので、俳優さんたちにもしもの事があったら、と、観てて不安になってしまいました。
    マッシュルームカットは、映画「舞子Haaaan!」の阿部サダヲみたいなオンザマユゲの、ブッ飛んだのが良いかなと思いました。説明不足でした、すみません。(映画は見てないけど・・・。)
    次の渡欧は、6月29日からで、ヘルシンキの後、7月3日のVシーズンラクと、7月4日のNYのシーズンラクを観ます。狙ったわけではなくて、偶然でした。9月からヘルシンキでレベッカ再演するんですね。前回観に行ったとき、チラシが無かったので、探してきます。
    最近ユーロに両替しすぎて、私も資金難です。ギリシャとともに財政難に陥っています。

  4. すいません、フィンランドだからヘルシンキかと思ったら、コウヴォラ(Kouvola)という所でした!

  5. MOZART!の千秋楽でも舞台装置が故障して、1幕の終わりに舞台奥に向かって上がるはずの跳ね橋が上がらず、ジャンプして消えるはずのWolfgangが、袖に向かって走っていきました(苦笑)。

    阿部サダヲ的なLukas・・・見てみたいような、見たくないような!?

    2日続けての千秋楽、体力勝負になりそうですね。9月のフィンランドRebeccaも行かれますか? ユーロ安なのが救いですが、先日の旅行から帰った翌日、114円と聞いて愕然としました。129円で替えたのに~!! 安いうちに両替しておきたいですが、タイミングが難しいです。

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