2011年大阪モーツァルト!初日&400回記念公演観劇記

大阪・梅田芸術劇場で5年ぶりの上演となった『モーツァルト!』。その初日に当たる1月8日昼公演と翌9日昼夜の計3公演を観てきました。9日夜は400回記念公演に当たり、特別カーテンコールがありました。また初日と9日昼の客席にはLevay御大夫妻とKunze御大が来られていました。

久々の井上芳雄さんのヴォルフガング、子供っぽい無邪気な役の中にも全体的に大人っぽさが加わっていました。声の感じも以前より低く深めな印象を受けました。新ヴォルフガングの山崎育三郎さん、生命力と躍動感に溢れる陽気なヴォルフガングから人生に苦悩する姿まで、魂がこもった熱演は期待以上! 思わず幕間に別日程のチケットを買いに走ってしまいました。アマデと二人で登場したカーテンコールでは、客席のLevay御大夫妻とKunze御大もスタンディングオベーションに加わり、盛大な拍手を送っておられました。

島袋寛子さんのコンスタンツェは今回が初見。初演の松たか子さん、西田ひかるさんの姐さん女房っぽいコンスタンツェと比べると、随分タイプが変わったなあと思うことしきり。可愛いらしい感じのコンスタンツェは、日本版の演出ではありなのかもしれませんが、ウィーンオリジナル版の変わり者のConstanzeが好きな私としては、全然違う役を観ている気がしてなりませんでした。香寿たつき&涼風真世男爵夫人は声も姿も美しく、素敵な夫人達でした。同じ役とはいえ、それぞれが全く違うデザインと色のドレスで登場するのも個性的でいいです。香寿さんには母親代わりのような暖かさ、涼風さんには旅人を導く星の光を感じました。ナンネールの高橋由美子さん、レオポルトの市村正親さん、コロレドの山口祐一郎さん、シカネーダーの吉野圭吾さん、ウェーバー夫人の阿知波悟美さん等は初演時からの不動のメンバー。山口さんのトイレシーン(笑)と吉野さんのダンスは、更に磨きがかかっていました。

音楽的にはテンポがかなり遅くなる部分が時々あり、違和感を覚えました。『ダンスはやめられない』のラスト、最後のフレーズに入る前のタメが長かったため、もう曲が終わったと勘違いして拍手をしたお客さんがいました。お客さんに拍手のタイミングを迷わせるのはまずいのではないでしょうか。またコロレドとレオポルトの会話シーンも、市村さん、山口さん共に台詞回しがスローだったので、観ている側としてはややだれてしまいました。仮面舞踏会の場面もテンポがメトロノームでリズムを取っているかのように、とつとつと緩やかに刻まれていた感じが強く、もっと緊迫感が欲しかったです。ソウルのコンサートで聴いたLevay御大自らの指揮が良かったので、ついつい比べてしまいました。またオーケストラの人数も少なめで、音にもっと厚みがあれば・・・と思ってしまいました。

初日のカーテンコールでは、市村さんが胸の前でハートを形作ってお茶目にポーズを取っておられました。挨拶では井上さんが初演をシアタードラマシティで迎えたこと、再演でメインホールに移ったこと等を懐かしく語っておられました。演出の小池修一郎さんも舞台に登場し、井上さんに狂気の場面が今までで一番良かったとお褒めの言葉。それから「もう皆さんご存じですね」とKunze、Levay両御大の来場を紹介されました。Levay御大は用意してきたメモを見つつ、日本語で「新年おめでとうございます。梅田芸術劇場、
関西テレビ放送ありがとうございました」とおっしゃってました。関テレへのメッセージが入ったのは、関テレの主催公演だからでしょう。

Kunze御大は「Sylvesterのように日本語を上手く話せないですが」とドイツ語で挨拶。小柄な年配の女性がメモを取りつつ通訳してました。カンパニーや小池さん、オーケストラ、東宝などに謝意を述べたあと、作家として一言いいたいと挨拶されて、「演劇には真実や生と死などが含まれている…」と話されたのですが、通訳の日本語とドイツ語がごっちゃになって上手く思い出せません! メモを取っておけばよかったと反省。

400回のカーテンコール、残念ながら両御大は登場しませんでしたが、大変盛り上がりました。井上さんがこの公演が400回目だったこと、最初はメインホールではなく、ドラマシティで狭かったことを振り返り、それから「自分は400回出てないんだけど」と言いつつ、400回全部出た人は一歩前に出るよう促していました。メインキャスト以外のアンサンブルにも、全公演出演されている人が数名いらっしゃったのは凄いことです! 400回出演者を代表して、まず山口さんの挨拶。「本当に本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」と深々とお辞儀。次に市村さんが「ホントにホントにホントにホントにありがとうございました」とホントの回数を増やして対抗(笑)。「後輩の祐一郎の顔見たさに通った」と市村さんが挨拶すると、山口さんが「一言いいですか」と割り込み、「こんな優しい先輩に、台本に書いてあるとはいえ無礼をしてすみませんでした」と市村さんに謝る一幕も。再び市村さんにバトンが返り、「400回も上演されたのは、作品が愛されているから。まだ当分続く気配がある。またの機会があれば、祐一郎の顔見たさに出たいかも」と仰った後、「若干、若干空席があるので、またお越し下さい」と舞台の端から端まで歩き、客席に向かってアピールされていました。幕が下りた後、観客の手拍子に答えて井上さんとアマデが登場。井上さんは今回が219回目の出演。アマデの松田亜美ちゃんに「亜美は何回目?」と尋ねる井上さんに、舞台では聞けない元気な声で「23回目ー!」と返事をした亜美ちゃんでした。

『モーツァルト!』の梅田芸術劇場メインホールでの公演は2011年1月8日(土)~25日(火) まで。2011年1月29日(土)~30日(日) には金沢歌劇座での公演があります。

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