2014年の海外観劇予定

少々遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。年始は『眠らない男ナポレオン – 愛と栄光の涯に- 』と『モンテ・クリスト伯』を観劇しました。『眠らない男ナポレオン』は柚希礼音さんの熱演が印象的でした。音楽はそこここに『ロミオとジュリエット』を彷彿とさせる箇所があったものの、ロミジュリほど耳に残るナンバーはないように思いました。話もやや詰め込みすぎの感がありました。同じくナポレオンを題材にしたミュージカルとしては、Uwe KrögerのWest Endデビューとなった”Napoleon”の方が個人的には印象に残る作品でした。『モンテ・クリスト伯』は、スイス・St. Gallen(ザンクト・ガレン)で見た世界初演版によく似たセットと演出でした。この作品はタイトルロールのモンテ・クリスト伯に魅力がないと成立しないと思いますが、石丸幹二さんの伯爵は明朗な美声は勿論のこと、復讐鬼の仮面の奥に隠された純真なエドモン青年の心に石丸さんの誠実な人柄が滲み出ていたのが大変良かったです。

2013年のハイライトは一も二もなく”Wien Musical Concert II”(ウィーン・ミュージカル・コンサート2)でした! 意外にも初めてライブでお目にかかったKevin Tarteの朗々と響く素晴らしい歌声とトークで見せたお茶目な性格に魅了され、Yngve Gasoy-RomdalのWolfgangには”MOZART!”初演当時にタイプスリップしたかのような感動を覚え、貴公子からコミカルな役まで幅広さを見せてくれたLukas Permanのサービス精神に脱帽し、Annemieke van DamとMark Seibertの現役”Elisabeth”コンビの若々しい魅力に心を躍らせた日々は、まさに夢のような時間でした。毎回コンサートのラストを飾ったMaya Hakvoortの”Ich gehör nur mir”は何度聴いても聞き飽きない珠玉の名曲。Elisabeth役を卒業しても、汲めど尽きせぬ泉のように溢れ続けるMayaさんの魅力は私達ファンの心を捉えて止みません。少しでも早い再来日が実現するよう、微力ながらこのブログで日本でのウィーン・ミュージカル人気を支え続けて行きたいと思っております。

2014年のドイツ語圏ミュージカル、気になる演目が沢山あります。Wien(ウィーン)では2月19日からUwe KrögerとPia Douwesの初代”Elisabeth”コンビ出演が話題の”Der Besuch der alten Dame“(老貴婦人の訪問)がRonacher、3月19日から”Mamma Mia!“がRaimund Theaterで始まります。また2014年秋シーズンには”Der Besuch der alten Dame”に替わり”Mary Poppins”が登場する予定です。Salzburg(ザルツブルク)のLandestheaterではUwe Kröger出演の”La Cage aux Folles“及び”The Sound of Music“が絶賛上演中。自前のミュージカルアンサンブルを抱えるLinz(リンツ)のLandestheaterでは、”Next to Normal“や”Show Boat“等多くのミュージカル作品の上演が予定されています。

スイスのミュージカルの殿堂St. Gallenには、3月15日よりFrank Wildhornの新作ミュージカル”Artus – Excalibur”が登場します。Artus役のPatrick Stankeを始め、Mark Seibert(Lancelot)、Thomas Borchert(Merlin)、Annemieke van Dam(Guinevere)、Sabrina Weckerlin(Morgana)といったドイツ語圏ミュージカル界のスター達が一堂に会するのに加え、大編成のオーケストラとコーラスによる厚みのある音楽も魅力です。St. Gallenでは”Moses – Die 10 Gebote”及び”Anything Goes”の上演もあります。

ドイツではHamburg(ハンブルク)で”Das Phantom der Oper“が期間限定で上演中。日本でも上演が決まった”Sister Act”はOberhausen(オーバーハウゼン)で上演されています。個人的にはStage Entertainmentが手がける大型ミュージカルよりも、Kevin Tarte主演のMagdeburg(マグデブルク)の”Sweeney Todd“のような公立劇場での公演に興味があります。

夏の音楽祭に目を向けると、何と言ってもMaya Hakvoort主演の”Sunset Boulevard”が気になります。ドイツ・Tecklenburg(テクレンブルク)の野外音楽祭Freilichtspiele Tecklenburgに、Mayaさんが演じてみたい役の一つだと仰っていたNorma Desmond役で初登場します。他のキャストもJulian Looman(Joe Gillis)、Annemieke van Dam(Betty Schaefer)、Reinhard Brussmann(Max von Mayerling)、Thomas Hohler(Artie Green)と豪華です。公演日程は7月25日から9月13日まで。なお9月4日から7日の公演では、Wietske van TongerenがBetty Schaefer役を演じます。Tecklenburgではもう一つ”Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat”も上演されます(6月21日から8月24日)。主演はAlexander Klaws、その他のキャストは”Sunset Boulevard”とかなり被っています。

Bad Hersfeld(バート・ヘルスフェルト)では6月18日(6月17日にプレビュー公演あり)から8月3日まで”Kiss Me, Kate“が上演されます。キャストは今のところまだ発表されていませんが、修道院の遺跡を舞台に素晴らしいオーケストラとトップクラスの出演者が集うこの野外音楽祭は、一見の価値があります。

Ettlingen(エットリンゲン)の宮殿の中庭で開催されるSchlossfestspiele Ettlingenでは、6月26日から8月16日まで”Grand Hotel“が上演されます。こちらもキャストは未発表。

Magdeburg(マグデブルク)の野外フェスティバルDomplatzOpenAirでは、6月20日から7月13日まで”The Rocky Horror Show“が上演されます。キャストは未定です。

Fulda(フルダ)のSchlosstheater Fuldaでは、Musical Sommer Fulda 2014と銘打ったミュージカル3作品の連続上演が行われます。Sabrina Weckerlinが主演し、大好評を博した”Die Päpstin – Das Musical“(女教皇)は4シーズン目を迎えます(6月20日から7月13日まで)。”Friedrich – Mythos und Tragödie“(フリードリヒ – 神話と悲劇)はFriedrich II.(フリードリヒ2世)の生誕300年を記念して2012年にドイツ・Potsdam(ポツダム)で上演された作品の再演です(7月19日から8月3日まで)。実在のカトリック司祭で社会改革者のAdolph Kolping(1813~1865年)を題材にした”Kolpings Traum“(コルピングの夢)も2013年に続いて再演されます(8月8日から8月17日まで)。

オーストリアでは毎夏Amstetten(アムシュテッテン)で開催されるMusical Sommer Amstettenに”Flashdance“が登場します(8月6日から30日まで)。AmstettenにはWienで活躍する俳優陣が出演することが多いです。

各地で開かれるコンサートは情報を追いかけるのがなかなか難しいのですが、主なところではTecklenburgで毎年精霊降臨祭の月曜日(2014年は6月9日)に開催される”Musical Meets Pop“とドイツ・Dinslaken(ディンスラーケン)で毎夏開催される野外ガラコンサート”Sommernacht des Musicals“(7月26日)は、豪華キャストが多数出演することで有名です。ツアー公演ではMaya Hakvoort、Mark Seibert、Marjan Shaki、Lukas Permanの4人による”Voices of Musical”を見てみたいです。出来れば来日希望! Kevin Tarte、Thomas Borchert、Jan Ammann、Mark Seibert、Patrick Stanke、Sabrina Weckerlinといったソロコンサートに力を入れている面々は、ホームページやFacebookで公演予定を告知しています。但し告知がかなりぎりぎりの場合もあるので、旅行計画に組み入れるのは難しいかもしれません。逆にミュージカルCD通販でお馴染みのSound of Musicが手がけるコンサートシリーズは、かなり前から日程が決まっていることが多いです。

その他に気になるのは、Vereinigte Bühnen Wien(VBW、ウィーン劇場協会)が”Das Phantom der Oper”、”Love Never Dies”に続くコンサートシリーズを今秋も行うのかどうか、2014年5月まで”Rocky – Das Musical”への出演を表明しているDrew Sarichの次回出演作(個人的には”Love Never Dies”の舞台版を希望!)、12月4日にWiener Stadthalle Fで行われるUweの50歳の誕生日記念コンサート”Happy Birthday Uwe Kröger”といったところでしょうか。

日本でもMichael Kunze及びSylvester Levayのコンビによる新作ミュージカル『レディ・ベス』が4月に開幕します。今年も観劇日程の調整に頭を悩ませることになりそうです。

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3 Comments

  1. はじめまして。ドイツ語圏ミュージカル好きでいつもブログ拝見してます。

    昨年のWien Musical Concert IIももちろん行きました。すばらしかったですね。

    ところで、今年のGWにドイツデュッセルドルフ・エッセンあたりに行こうかと思っていて、そこから行ける範囲でオススメのコンサートやミュージカルがあったら教えていただきたいと思い、コメントさせていただきました。

    ドイツの地名や距離感がなかなか自力でつかめず・・・

    エッセンではSound of MusicのMark Seibertコンサートありますね。

    • mayさん、初めまして。いつもご覧頂いているとのこと、ありがとうございます。Wien Musical Concert IIは本場でも見られない超豪華キャストと内容に大感動しました! あの公演が毎年あれば、もう海外遠征しなくてもいいかも・・・なんて思ってしまったくらいです(笑)。

      GWの観劇旅行、楽しみですね。Essen近辺であれば、Bochumで"Starlight Express"がロングラン公演をしています。何と25年も続いているこの公演、かのUwe Krögerも若い頃出演していました。

      http://www.mehr.de/en/musical/starlight-express-the-musical/starlight-express/

      Oberhausenの"Sister Act"もいいですね。

      http://www.stage-entertainment.de/musicals-shows/sister-act-oberhausen/show.html

      DüsseldorfではCapitol Theaterがミュージカル上演で有名ですが、5月のプログラムはまだ出ていないようです。

      http://www.mehr.de/en/venues/capitol-theater-duesseldorf/capitol-theater-duesseldorf/

      私がちょっと気になったのはGelsenkirchenの"Cabaret"。Sally Bowles役のJudith Jakobは"MOZART!"でConstanzeのセカンドだった女優さんで、Yngveと彼女が出ていた公演を観たことがあります。当時はわりとぽちゃっとしていて、瘦せ型の本役Ruth Brauerとはまた違った雰囲気のある色っぽいConstanzeでした。5月2日に公演があります。EssenからはGelsenkirchenは電車で10分だそうです。

      http://www.musiktheater-im-revier.de/Spielplan/Oper/Cabaret/

      EssenのMark Seibertのコンサートは5月3日ですね。"Cabaret"と組み合わせては如何でしょうか。

      musicalzentraleでは月別かつ地域毎に公演を検索できますが、3ヶ月分しか掲載されていないのが難点です。とはいえ当たりをつけるのにとても役に立ちます。

      http://www.musicalzentrale.de/

      是非旅のお話を聞かせて下さいね!

    • spaさん、お返事ありがとうございます。

      こんなにたくさん教えていただけるとは!驚きと嬉しさでいっぱいです。Cabaret含めて計画してみようと思います。

      まだ先になりますが、実際に行けたらコメントさせていただきますね。

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