Elisabeth上海公演観劇記(2014年12月)

2014年はElisabeth上海公演で締めくくることになりました。当初上海行きは予定していなかったのですが、友人のつてでチケットを手配出来たので、急遽行くことにしました。

会場のShanghai Culture Square Theater(上海文化广场)へは地下鉄1号線陜西南路駅(Shanxi Nan Lu、South Shaanxi Road)から徒歩5分ほどで复兴中路(Fuxing Middle Road)に面した敷地の正面入口に到着しますが、敷地も劇場も広いので、10分以上かかると思っておいた方がいいでしょう。入口では地下鉄同様、手荷物のX線検査が行われます。地下鉄9号線打浦橋駅(Dapuqiao)からは徒歩15分です。駐車場と楽屋への出入り口は茂名南路(Mao Ming Nan Lu)に面しています。

チケット売場は劇場正面右手の階段上にありました。

座席表。

客席は階段状になっているので、どの席からも見やすい作りです。

夜公演前の会場。

地下劇場なので、入口からロビーまでは階段やエスカレーターで下りて行きます。

ロビーにはWien(ウィーン)再演版の衣装が展示されていました。

プログラムは80元。日本円で約1600円、中国ではいいお値段です。プログラム売場では、”Elisabeth”ドイツツアー公演版のCDとMark Seibertの2015年版カレンダーも販売されていました。なおキャスト表は配布されていないようで、プログラム売場に置いてあるものを撮影させて貰いました。

会場の一角で福袋888と称して、1月4日公演分までの1080、880、680元のチケットが2枚セットで888元で販売されていました。

グッズ売場にもTシャツとテディベアのセット等、福袋が揃っていました。

巨大パネルがあるのは韓国っぽい感じ。

化粧品会社とタイアップしているようでした。友人曰く、入口で試供品を配っていたそうです。

客席は大変立派でした。シートの座り心地も良く、視界も良好。素晴らしい劇場に正直大変驚きました。

キャストは基本的にはファーストキャストが演じるようですが、私達が行った12月27日及び28日の夜公演は、どちらもDer TodのMark Seibertは休演でした! まさかどちらも出ないとは思わずに、あまりのチケット代の高さに断念した28日の昼公演にのみ出ていたことが後で分かり、大ショック・・・。どうもMarkは上海の大気汚染で調子を悪くしたようで、26~28日の夜公演はChristoph Apfelbeckが代役を務めたとのことでした。Elisabeth役のRoberta Valentiniも28日夜公演は出演せず、Marle MartensがElisabethを演じたので、主役がどちらもセカンドということに。更にもう一人Der Todのセカンドを務めるMartin Markertもこの週末は病気だったそうで、イレギュラーな時期に当たってしまいました。他のメインキャストは全てファーストキャストでした。なおMarkもMartinももう本調子に戻ったようです。

上海公演はWien再々演版をツアー公演向けに仕立て直したバージョンでした。大道具はやすりや馬車といった最小限のものに留められ、殆どは映像で表現される簡易バージョン。最後通牒の場面では、通常は扉を挟んでElisabethと皇帝が対峙しますが、扉のセットがないこのバージョンでは、壁の向こうにシルエットで映るElisabethに皇帝が「開けておくれ」と歌いかけた後、今度は壁の向こうに消えた皇帝がシルエットになり、舞台上に文書机に向かうElisabethが登場するという演出になっていました。デュエットなのに舞台上には常に一人しかいないので、見ている側としては物足りない印象に。娼婦の館でも歌詞に登場する飾り窓の枠のセットが全くないので、空間的に寂しかったです。Wienの舞台を可能な限り忠実に再現しようとした2007年の大阪・梅田芸術劇場での来日公演に比べると、どうしても視覚的には見劣りしてしまいますが、出演者にはMark SeibertやKurosch Abbasi、Daniela Ziegler、Dennis KozeluhといったWien公演のメインキャストを揃えており、さすがのクオリティーでした。新ElisabethのRoberta Valentiniは高音も裏声になることなく力強く聞かせてくれて、実に堂々としたElisabethを見せてくれました。更に公演回数を重ねて役を膨らませていった後の彼女をまた見たいと思いました。セカンドのMarle Martensも非常に声量があり、パワフルで感情豊かな演技に惹きつけられました。見た目にも美しく、セカンドといっても大変レベルが高いElisabethでした。2日間連続で見ることになったChristoph ApfelbeckのDer Tod、声は爽やかで聞きやすいのですが、どちらかというとRudolf向きの繊細なイメージでした。外見も角刈り系であまりDer Todらしくない感じでした。Franz-Joseph役のMaximilian Mannはなかなか良い声で、全体的に安心感がありました。特に後半の皇帝が良かったです。Rudolf役のThomas Hohlerは以前にもツアー版でRudolfを演じていた経験があります。顔が薄めだったせいか、全体的にやや薄めな印象のRudolfでした。

中国での上演というのは、やはり何かと制約があるようで、あれれと思うところもありました。Frau Wolfと娼婦達の衣装はロングドレスで、足を見せる等のきわどい仕草はカット。鳩のように胸を突き出したり、途中で上着を下ろして肩を見せるまでが精一杯のセクシー表現。随分大人しい娼婦達でした。フランス病の場面でも、Elisabethは運動着のズボンではなく、ロングガウンにロングドレス姿で担ぎ込まれます。最も謎だったのは、”Die Schatten werden länger”(闇が広がる)で、紫色の薄い布を羽根のように掲げて登場するDer Todが、馬車に腰掛けた後その布を膝にかけたこと。Rudolfが直接Der Todの膝に頭を乗せるのは、中国的にはアウトなのでしょうか? その一方でRudolfの死の直前のキスシーンは普通にやっていました。”Hass”の場面は韓国では丸ごとカットされたそうですが、中国ではちゃんとやっていました。政治的な部分がもしかすると何処か問題になってカットされていたのかもしれませんが、気がつきませんでした。

“Elisabeth”上海公演は2014年12月9日(初日12月12日)から2015年1月11日までです。それでは皆様、良いお年をお迎え下さい。

Shanghai Culture Square Theater
597 Middle Fuxing Road
上海文化广场
复兴中路597号
Hotline: 962388 / 64726000
http://www.shculturesquare.com/

Booking.com

4 Comments

  1. spaさん、明けましておめでとうございます!
    今年もどうぞよろしくお願いします。

    上海にいらしたんですね、羨ましいです。
    とても立派な劇場、一度、訪れてみたいですが、
    空気のことを考えると、今の私にはとても無理な気がします。
    昨年は1年間で4回、入退院の繰り返しでしたが、
    今は自宅で薬による治療を継続している状態です。
    でも、4月からは職場復帰する予定で、体力回復のために
    リハビリしなければと思っています。

    昨年はドイツ・オーストリアに行けない分、spaさんのブログで紹介された
    CDなどを(サイトを見たら紹介されたもの以外もついつい買ってしまったりして)結構買いました。
    年末にもNext To NormalやUweのCD、フリードリヒのDVD(CDはすでに持っていたのですが、サンスーシで上演されたものを見たくなりました)などを注文してしまいました(笑)

    今年のMusicalは井上くんの「モーツァルト!」で始まります。
    彼は今年のElisabethでTodを演じるのですね。楽しみです。

    spaさんのブログのおかげでドイツに行けなくても
    映像も含めて情報をいただいて楽しむことができました。
    今年もいろいろな情報を楽しみにブログを拝見しますので、
    どうぞよろしくお願いします!

    • Märzさん、あけましておめでとうございます。新年早々のご訪問、ありがとうございます。こちらこそ今年もどうぞよろしくお願いします。

      上海は全くアウェイだったのでどうなることかと思いましたが、素晴らしい劇場で観劇体験をすることが出来、MarkのDer Todは逃したものの、行って良かったと思いました。またこのようなイベントがあれば、ついつい行ってしまいそうです(笑)。上海の空気、土日はそうでもなかったのですが、月曜日は平日だったせいか、喉がイガイガしてマスクが欲しくなりました。といっても上海の人達はあまりマスクをしていませんでしたが。3日間いただけでも喉に影響が出たので、出演者も健康管理には苦労していることでしょう。Märzさんもくれぐれもお体にはお気をつけ下さい。一歩一歩着実に進むことが出来れば、きっとまた以前のように海外観劇を楽しめる時がやって来ますよ!

      私も今年の初観劇は井上さんの『モーツァルト!』です。井上さん、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートにゲスト出演されていましたね。念願のトート役、期待しています。

  2. 初めまして、strawと申します。
    大分前からspaさんのブログを拝見させて頂いており、ドイツ語ミュージカルの情報はこのブログから入手していると言っても過言ではないくらいです。
    エリザベート上海公演、観劇されていたのですね。実は、私もその日に上海にエリザを観に行っていました(もちろん情報源はこのブログです)勘違いなら申し訳ありませんが、もしかして28日に出待ちをされていて、Thomasを待っていたり(私は最後まで待っていたのですが、その時は後から出てきた人に「もうThomasは出たよ」と言われてしまい、結局会えずじまい)・・・もしそうでしたら、その時に私以外にあと一組出待ちをされている方がもしかしてspaさんだったり・・・
    何はともあれ、映像による演出の簡略化や周りの観劇マナー(特に劇中にチラチラ光るスマートフォン・・・)など気になる点はあれど、セカンドも含めてキャストさん達のクオリティの高さは文句無しでした!
    今回のエリザベート上海公演もそうですが、以前にもstuttgartのレベッカやBerlinのエリザベートの情報をこのブログで知り、それで観劇旅行を決行するなど、このブログの情報には本当にお世話になっております。
    これからもわくわくしながらこのブログを拝見させて頂きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

    • strawさん、初めてのコメントありがとうございました。上海で27日と28日の3公演をご覧になったと仰っていた方ですね。私のブログをご存じだったとはびっくりです! Thomasと会われたのか気になっていましたが、やはりもう帰っていたのですね。ウィーンのように劇場に食堂があったりするとなかなか出てこない人もいるのですが、何もなければ終演後15~30分ほどで大部分の出演者は帰ってしまうようです。恐らく集団で出てきた中にいたのでしょうね。私も会えなくて残念でした。

      観劇マナーは私も気になりました。スマホの光は困りものです。指揮者のすぐ後ろの席で喋っていた人の声は、絶対聞こえていたと思います。ただウィーンの観客もスマホを出すことはあまりないですが、お喋りは結構お構いなしにやっています。日本のお客さんは基本的に静かで、劇中の拍手が少ないのことに欧州の役者さん達は戸惑うようですが、舞台にとても集中してくれていると好感を持ってくれているようです。

      このブログを参考にして実際に旅に出られた方の声は、大変励みになります。興味のある演目や役者さん等お知らせ頂ければ、出来るだけご紹介していきたいと思っていますので、これからもどうぞ気軽にコメントをお寄せ下さい。また何処かでお目にかかることがあるかもしれませんね!

straw へ返信する コメントをキャンセル

Your email address will not be published.




このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください