Sabrina Weckerlin(サブリナ・ヴェッカリン)出演作品紹介

『フランク・ワイルドホーン&フレンズ ジャパンツアー』(Frank Wildhorn & Friends Japan Tour)に、Thomas Borchert(トーマス・ボルヒャート)と共にドイツから参加するSabrina Weckerlin(サブリナ・ヴェッカリン)。Sabrinaは2010年に『M. クンツェ&S. リーヴァイの世界』へのゲスト出演で初来日しました。日本のミュージカル界を代表するメンバーが一堂に会したこのコンサート、座席数が少ないシアタークリエでの開催とあって、チケットが入手出来なかった方も多かったのではないでしょうか。Sabrina本人も再来日に意欲を見せていましたが、あまりの多忙さゆえになかなか実現せず、今回ようやく待望の再来日となります。

Thomasに続いてSabrinaについても個人的な観劇歴を振り返ってみたいと思います。私が最初にSabrinaの名前を聞いたのは、ドイツ・Berlin(ベルリン)で上演された”3 Musketiere”(三銃士)に彼女がConstance役で出演した時でした。Uwe Kröger、Pia Douwesが出演した話題作のファーストキャストに、弱冠19歳にして抜擢された大型新人がいると聞き、興味が湧きました。残念ながら”3 Musketiere”の舞台は日程が合わず見ることが出来なかったのですが、彼女の名前は何処かひっかかっておりました。

3 Musketiere: Das Musical

Elisabeth – Die Legende einer Heiligen(エリザベート – ある聖女の伝説、Elisabeth役)

ドイツ・Fulda(フルダ)の独立系ミュージカル制作会社Spotlight Musicalsが、ドイツ・Thüringen(テューリンゲン)地方に実在した領主の妻で聖女に列せられたElisabethの生誕800年を記念して、2007年にEisenach(アイゼナッハ)で上演したオリジナルミュージカル。この年にBad Hersfeld(バート・ヘルスフェルト)の”Les Miserables”をメインに観劇予定を検討していた時、電車で1時間ほどのEisenachでこの作品が上演されることを知りました。しかも気になっていたSabrina Weckerlinがタイトルロール! 昼間の観光で、聖女伝説のハイライト、貧しい人々にパンを届けようとしたElisabethが夫である領主に見咎められ、籠の覆いを取らされたところ、中のパンが薔薇に変わっていたというエピソードだけはかろうじて知っていましたが、あとはさしたる予備知識もなく観ることになったため、話の理解は今ひとつだったものの、Sabrinaの美しい王妃姿と素晴らしい声は心に残りました。彼女の夫Ludwig役を演じていたArmin Kahlは、2015年に”Gefährliche Liebschaften”(危険な関係)、”Zorro”、”Cats”、”Jekyll & Hyde”等で大ブレイクしました。こんな前に彼を見ていたことに今更ながら気づいた次第。

Elisabeth – Die Legende einer Heiligen

Elisabethの居城でこの街に聳えるWartburg(ヴァルトブルク城)は、世界遺産に登録されています。ここで結婚式を挙げることが出来るそうです。日本からの観光客向けに街の至る所に日本語の標識がありました。

“Elisabeth – Die Legende einer Heiligen”の上演劇場Landestheater Eisenach。

Marie Antoinette(マリー・アントワネット、Margrid Arnaud役)

2006年11月に東京・帝国劇場で世界初演を迎えた『マリー・アントワネット』は、2009年にドイツ・Bremen(ブレーメン)、2012年にドイツ・Tecklenburg(テクレンブルク)で上演されました。Sabrinaは両公演でMargrid Arnaud(マルグリット・アルノー)役を演じました。事情通のドイツの友人によると、”Marie Antoinette”のデモ音源で既にSabrinaがMargridを歌っていたそうなので、最初からKunze & Levay御大は彼女をMargridに想定していたのでしょう。またThomas BorchertがCagliostro(カリオストロ)のパートを担当していたという話も聞きましたが、Thomasは舞台では演じていません。Sabrinaの何処か硬質で青さの感じられる声とその背後にふつふつとたぎる熱い感情が、貧しく虐げられた立場にありつつも、正義を貫く真っ直ぐな心を持ち続けるMargridの強さと純粋さに通じると思いました。

Bremen公演の動画、Marie Antoinette役のRoberta Valentiniは”Elisabeth”のツアー公演にタイトルロールで出演中です。Cagliostro役のEthan Freemanは”Elisabeth”のオリジナルLucheni。現在はドイツ・Hamburg(ハンブルク)の”Aladdin”(アラジン)に出演しています。

こちらはTecklenburgの舞台映像。野外劇場での上演でした。

“Marie Antoinette”ドイツ語版はハイライトCDが出ています。

MARIE ANTOINETTE – Das Musical-HIGHLIGHTS

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M. クンツェ&S. リーヴァイの世界

“Marie Antoinette”のドイツキャストとして、東京・シアタークリエで行われたガラコンサートに特別ゲストで登場したSabrina。同じくMAにFersen(フェルセン伯爵)役で出演し、当時はプライベートでもパートナーだったPatrick Stanke(パトリック・シュタンケ)と共に初来日を果たしました。このコンサートは第一部が『マリー・アントワネット』のダイジェストコンサート版、第二部が『エリザベート』、『モーツァルト!』、『レベッカ』からのハイライトでした。

Die Päpstin(女教皇、Johanna役)

米国の作家Donna Woolfolk Cross(ドナ・W.クロス)の小説『女教皇ヨハンナ』(原題”Pope Joan”)を2011年にSpotlight Musicalsがミュージカル化し、Sabrinaがタイトルロールを演じました。女性のローマ教皇が存在したという中世の伝説を題材に、勉強が好きな少女Johanna(ヨハンナ)が男性と偽って修道院に入り、数奇な運命を経て遂には教皇にまで上り詰めるという歴史大河ロマン。2009年に映画化され大ヒットしたそうですが、残念ながら日本では未公開です。観劇前に原作小説を手にしたところ、息もつかせぬ展開と禁断の恋の行方が気になって、衝撃的なクライマックスまで一気に読破してしまいました。Fuldaの小さな劇場でこの壮大な物語をどうミュージカル化するのかが大いに気になりましたが、物語の重要なエッセンスを上手く抽出し、新たな世界観を創り上げていました。中でもSabrinaの存在感は大きく、女性であるが故の困難を乗り越えて、自分の信念に基づき生きていくJohannaの純粋な情熱を、彼女と一体化して体現していました。私自身は2011、2012年の2回観劇しました。2012年はたまたま初日に当たり、終演後キャストを交えてのパーティーに参加することが出来ました。気さくに話に応じてくれたSabrina、ブルーグリーンのミニドレスと同色の靴がよく似合っていました。

2013年公演のトレイラー。

2011年の初演に先立って行われた記者会見での歌唱披露の映像。女性であることを隠し、孤独を身に纏って生きる主人公Johannaの心情を切なく歌い上げています。

劇場前で開演を待つ観客達。

FuldaのSchlosstheaterは大変小さな劇場です。

世界初演2011年と書かれたスタンドが置かれていました。

“Die Päpstin”、オリジナルキャストによるCDが出ています。

Die Päpstin – Das Musical

原作本の日本語訳は『女教皇ヨハンナ』のタイトルで上下2巻で出版されています。

女教皇ヨハンナ (上)

女教皇ヨハンナ (下)

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Best of Musical Gala 2012

Stage Entertainmentが数年に一度トップレベルのミュージカルスターとアンサンブルを集め、様々なミュージカルのハイライトを再現してみせる贅沢なコンサートツアー。2012年秋から”Rocky”の上演が始まる前だったこともあり、この年はミュージカルと映画のコラボがテーマでした。Sabrina Weckerlin、Mathieu Boldron、Patricia Meeden、DMJ、Alexander Klaws、Pia Douwes、Yngve Gasoy-Romdal、Elisabeth Hübertがソリストとして出演しました。Sabrinaはこちらへの出演があったため、時期が重なった『M. クンツェ&S. リーヴァイの世界 ~2nd Season~』には出演出来なかったそうです。

Kulturblick.TVによる舞台映像とPia Douwes、Sabrina Weckerlin、Yngve Gasoy-Romdalのインタビュー動画、15分ほどありますが是非ご覧下さい! 開始1分半で円形の空中ブランコに腰掛けたSabrinaの登場から始まる”Burlesque”(バーレスク)が見られます。セクシーな衣装で踊るSabrina、抜群に格好いいです! 他にも”Rebecca”(レベッカ)からSabrinaとYngveの”Jenseits der Nacht”(夜を越えて)、SabrinaとPiaの”Rebecca”等、貴重なカットをお楽しみ下さい。Pia様の”Burlesque”も凄いです! 過去の公演はCD化されたものもあったのですが、2012年のツアーは残念ながらCD化されていません。DVD化して欲しいくらい贅沢な場面のオンパレードを楽しませて貰ったツアーでした。

関連記事:Best of Musical in Frankfurt(2012年3月)

Artus – Excalibur(Morgana役)

スイス・St. Gallen(ザンクト・ガレン)のTheater St. GallenがFrank Wildhornと組んで制作したアーサー王物語”Artus – Excalibur”に、Thomas Borchertと共に出演中のSabrina。Patrick Stanke演じるタイトルロールArtusの腹違いの姉で、父王とArtusを憎んでいる魔女MorganaがSabrinaの役どころ。初の悪役です。Thomas演じる魔術師Merlinを激しく誘惑するMorgana、この二人ががっぷり組んだデュエット”Begehren“(欲望)は是非聴きたい曲です。St. Gallenの舞台には『ウィーン・ミュージカル・コンサート 2』で初来日したAnnemieke van Dam(アンネミーケ・ファン・ダム)が王妃Guinevere、Mark Seibertが騎士Lancelotで出演しており、また”Marie Antoinette”を上演したTecklenburgで2016年夏に上演される野外公演版では、同じく『ウィーン・ミュージカル・コンサート 2』に参加したKevin Tarte(ケヴィン・タート)の出演が決まっています。日本では未上演ですが、ドイツ語圏ミュージカルファンには大いに気になる作品だと思います。ケルト風の響きを取り入れた音楽は、いつものWildhorn節とはひと味違うように感じました。2014年4月に現地で観劇しました。

Theater St. Gallenのvimeo公式チャンネルに”Artus”の稽古映像等が掲載されています。


Artus – Excalibur from theatersg on Vimeo.

“Artus”はオリジナルキャストCDが出ています。

Artus Excalibur

関連記事:ザンクト・ガレン便り(2014年4月)

Der Medicus(Mary Cullen役)

Sabrinaは2016年夏にFuldaで上演される新作ミュージカル”Der Medicus“への出演が決まっています。このミュージカルと同様に米国の作家Noah Gordon(ノア・ゴードン)の小説”The Physician”を原作とした映画『千年医師物語~ペルシアの彼方へ~』が、2016年1月から全国公開されます。

私が観たことのある作品以外にも、日本でも上演されている”3 Musketiere”(三銃士)、”Wicked”(ウィキッド)、”Next to Normal“(ネクスト・トゥ・ノーマル)やドイツオリジナルミュージカル”Bussi – Das Munical”、Spotlight Musicals制作の”Bonifatius”(ボニファティウス)、”Kolpings Traum“(コルピングの夢)、”Friedrich – Mythos und Tragödie”(フリードリッヒ 神話と悲劇)等多くの作品に出演しているSabrina(Sabrinaが参加しているCDのみAmazonへのリンクを張っています。Wickedのドイツ語版CDにはSabrinaは参加していませんのでご注意下さい)。Wildhorn作品には”Artus“の他、”Jekyll & Hyde”のツアー公演にLucy役で参加しています(タイトルロールはYngve Gasoy-Romdal、日本ではエマとなっている婚約者Lisa役はLeah delos Santos)。2015年11月末現在のセットリストにSabrinaの”Someone Like You”(あんなひとが)が入っているのが嬉しいです。同じく歌う予定になっている”Wicked”の”Defying Gravity”(自由を求めて)は、ドイツ語では”Frei und schwerelos“というタイトルになります。

最後にSabrinaとThomasのデュエット”Das Lied der Gezeiten”(潮汐の歌)をご紹介しておきます。この歌は2015年6月5日にドイツの港町Kiel(キール)で行われた新造船の進水式で披露されました。船主のクルーズ会社の広報記事によると、海への憧れや豪華客船が出航するときに船客が抱く感情、すなわり遠方への憧れや新しい国々への衝動を持ちながらも、早々に船を我が家のように感じる気持ちを歌っているそうです。

Das Lied der Gezeiten

Sabrina WeckerlinとThomas Borchertの歌声をここ日本で堪能出来る貴重な機会が、もうそこまで近づいています。お見逃しなく!

『フランク・ワイルドホーン&フレンズ ジャパンツアー』(Frank Wildhorn & Friends Japan Tour)

梅田芸術劇場メインホール
2015/12/23(水)

東急シアターオーブ
2015/12/26(土) ~ 2015/12/27(日)

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2 Comments

  1. Spaさん!Kenzoです。
    もうすぐ公演でワクワクしています。特にサブリナは私は初見ですので期待度満点!
    Spaさんの「Sabrinaの何処か硬質で青さの感じられる声とその背後にふつふつとたぎる熱い感情」っていうのがCDを聴いていての私の思いといっしょでうれしかったです。

    • Kenzoさん、コメントありがとうございます。来週の公演、楽しみですね! 引用して頂いた文はSabrinaの声の魅力をどう書けば上手く伝わるかと思って悩んだ箇所だったので、Kenzoさんに共感して頂けてこちらこそとても嬉しいです。Sabrinaの歌声をどうぞ満喫して下さい!

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