Marie Antoinette感想 Part 2

Bremen版Marie Antoinette感想の2回目です。1回目はこちら

Marie Antoinetteの居室で繰り広げられる豪華な買い物とLouis XVI(ルイ16世:Tim Reichwein)の登場場面は、台本的には東宝版と同じ流れでしたが、一人一人の演技が粒だっていて、遙かにテンポ良くコミカルに仕上がっていました。

仕立屋のRose Bertin(ローズ・ベルタン:Sarah Schütz/Mona Graw)、美容師Léonard(レオナルド:Oliver Heim)、宝石商Charles Boehmer(ベメール:Fernand Delosch)の3人組は、それぞれ個性的でありながら、王妃におべっかを使う時は息がぴったり。Oliver HeimはElisabeth来日公演で、Baron Kempen(ケンペン男爵)とKronprinz Rudolf(皇太子ルドルフ)を演じていた小柄な俳優さんといえば、分かる方も多いでしょう。Fernand Deloschは、Hamburg版MOZART!でWolfgang(ヴォルフガング)を演じた経験があり、Phantom(ファントム)やLucheni(ルケーニ)も出来る実力派。Boehmer役に留めるには勿体ないくらいいい声だと思ったら、Cagliostro(カリオストロ)のセカンドも務めているようです。Rose BertinのセカンドのMona Grawは、Madame Juliette Lapin(マダム・ラパン)のセカンドでもあります。彼女はWien版MOZART!でCäcilia Weber(ツェツィーリア・ヴェーバー)を演じていた、懐かしい名前です。

Marie Antoinetteの演技も、贅沢やバカ騒ぎは自分の真意ではないとばかりにこっそりため息をつく東宝版よりも、あっけらかんとワガママを主張するBremen版の方が、贅沢三昧が当たり前で他者への思いやりがなかった作品前半と、王妃としての自覚に目覚めた後半との対比を上手く現していると思いました。Louis XVIの来訪を聞いた王妃が、片手で頭を起こしながらも右半身を下に床に寝そべったまま王を迎える演出は、彼女の傲慢さをよく現していて秀逸でした。

この場面で東宝版との違いを感じたことの一つに、台詞回しがあります。日本のミュージカルで目立つ、大げさでいかにも芝居がかった口調の台詞や歌を聞くと、言葉が上滑りしているようで、興醒めすることが多いのですが、Bremen版MAでは自然な会話のリズムが根底にあり、各登場人物の感情表現にリアリティーがありました。王妃がPrincesse de Lamballe(ランバル公爵夫人:Susanna Panzner)にお城を買ってあげると約束する会話も、東宝版のようなやや冗長なドタバタ騒ぎに発展して、全体の流れを妨げるようなことはありませんでした。Turgot(テュルゴー:Gerd Achilles)の罷免を夫に要求するMarie Antoinetteの我の強さと、妻の勢いに押されてたじたじとするLouis XVIの気の弱さは、たとえ言葉が聞き取れなくても、日本語で聞いたときよりも遙かによく伝わってきました。一つ一つの台詞の裏にある感情が濃いのです。

左右の靴を間違えて登場するLouis XVIの演出は、東宝版と同じ。但し国王の印象が随分違いました。何しろElisabethでFranz Joseph(フランツ・ヨーゼフ)、Tanz der VampireでHerbert(ヘルベルト)、RebeccaでMaxim de Winter(マキシム)とJack Favell(ジャック・ファベール)のセカンドを演じたTim Reichwein氏は、非常に細身で背が高く、足も勿論物凄く長い役者さん。ルイ16世の「背が低くて小太りのさえない男」というイメージとは全く違います(^_^;)。実物と似ているかどうかは、役の選考基準ではなかったようです(^_^;)。高めのうわずった声でおどおどと喋る様子は、如何にも王妃の尻の下に敷かれているという感じでよかったですが、物語後半では歌・感情表現共にかなり物足りない気がしてしまいました。それというのも、東宝版で国王を演じた石川禅さんがあまりにも素晴らしかったから! 詳しくはまた後ほど。

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