MitsukoとFrank & Friends感想 Part 2

少々時間が経ってしまいましたが、”Frank & Friends/Mitsuko”の感想続きです。第2部は”Frank & Friends”。Frank Wildhornの楽曲を、インターナショナルなメンバーで披露する豪華コンサートには、作曲家自身もピアノ演奏で参加しました。

プログラム掲載の曲目とキャストは次の通り。

Jekyll & Hyde
1. Prologue~Facade プロローグ~嘘の仮面(コーラス)
2. Bring On The Men 連れてきて(マルシア&女性コーラス)
3. Dangerous Game 罪な遊戯(鹿賀丈史&マルシア)
A New Life 新たな生活(マルシア)
4. Outside Jekyll’s Lab~This Is The Moment (~First Transformation~Alive) ジキルの研究室の外~時が来た(~変身~生きている)(鹿賀丈史/Máté Kamaras)

Rudolf
5. Prologue プロローグ(インストゥルメンタル)
6. Measure Of A Man 私という人間(井上芳雄/田代万里生/Lukas Perman)
7. Pretty Little War 美しき戦争(家塚敦子&女性コーラス)
Only Love 愛してる それだけ(笹本玲奈)
8. Something More それ以上の・・・(井上芳雄/田代万里生/Lukas Perman&池谷京子)
I Was Born To Love You ただ君のために(井上芳雄&笹本玲奈)

The Scarlet Pimpernel
9. Into The Fire 炎の中へ(安蘭けい&男性コーラス)
10. Where’s The Girl? 君はどこに(Máté Kamaras)

With Wildhorn
11. A Piece Of Courage ひとかけらの勇気:The Scarlet Pimpernelより(安蘭けい)
12. You Can Do Better Than Me:Bonnie & Clydeより(田代万里生)
13. Someone Like You あんなひとが:Jekyll & Hydeより(マルシア)
14. Alone 独りで:Cyranoより(鹿賀丈史)
Love Is Here At Last これが恋:Cyranoより(田代万里生&岡本茜)
15. The Gascons 我らガスコン:Cyranoより(コーラス)
16. Never Say Goodbye:Never Say Goodbyeより(安蘭けい&井上芳雄/Máté Kamaras)

Never Say Goodbye
17. The Girl I Look For 僕が探す人(井上芳雄/田代万里生)
18. Truth Of Love 愛の真実(安蘭けい)
19. One Heart (オールキャスト)

曲目は日替わりで、東京のみの”Only Love”と”I Was Born To Love You”を除いて一通り聴きました。キャストも井上君・笹本さん以外の日替わりバージョンを体験。東宝版Rudolfは観たのでいいとして、井上君の”Never Say Goodbye”関連曲が聴けなかったことがちょっと残念ですが、そのうち機会があるかもと思っておきます。

“Jekyll & Hyde”は、男女6名のコーラスによる”Facade”が迫力満点。歌詞が非常にクリアに聞こえたのが良かったです。ただ皆さん元々声量があるので、特に男性陣はマイクの音量をもう少し下げた方が、バランスが良かったと思いました。そしてJ&Hといえば、何と言ってもマルシア! 初演時に観て以来のマルシアLucy、もう本当に素晴らしいの一言に尽きました!! 赤いボリュームのあるドレス姿の彼女が、オーケストラの間から姿を現しただけで、もう雰囲気が変わりました。一曲が一本の舞台のような密度で、特にソロの”A New Life”では、彼女の一挙一動に目が釘付けになってしまいました。J&Hファイナル公演の時はあまりにも声が出ておらず、弱々しくて観ていられないとまで思ってしまった鹿賀さんも、マルシアの熱唱に触発されたのか、”Dangerous Game”ではなかなかいい声が出ていました。ただ個人的には鹿賀さんのJekyllは苦手で、実験のシーンで薬を味見して「しょっぱい」と笑いを取る演技は、どうも頂けなかったです。”This Is The Moment”も、鹿賀バージョンは何故か全体的にテンポが速く、特にラストの伸ばす音の伴奏は、明らかに指揮のAdrian Manz氏は巻いてました。前日のMátéバージョンは、本来のテンポで壮大に終わっていたので、この名曲を堪能した気分になれたのですが・・・。MátéのJekyllは”Mitsuko”で大人しくしていた分、ちょっと弾けたかなと思いました。

“Rudolf”は、Lukasのドイツ語で”Measure Of A Man”もとい”Mut zur Tat”を聴けたのが嬉しかったです。と言いつつも、ウィーンで観たDrew SarichのRudolfを重ねてしまいましたが(笑)。”Pretty Little War”は、傘でえいやとばかりに突く家塚さんの仕草がとてもラブリーで、毎回楽しみでした。曲の最後に決めポーズやかけ声等、はっきりここで終わったというサインがなかったので、観客が拍手を始めるまでに一瞬ずれが生じてしまっていたのが残念でした。”Something More”(”So viel mehr”)は、Lukasと池谷さんが日本語でデュエットを始めて驚きました。たった3公演のために、それも直前までTanz der Vampireへの出演や、ハイチ地震チャリティーコンサートの準備で忙しかった中、日本のファン向けに覚えてきてくれたとは! しかも発音も前回より格段に上手くなっていて、驚かされました。この調子で勉強して、是非”Mitsuko”舞台版に出演して下さい! 池谷さんも透き通るような可愛い声で、どっぷり聴き入ってしまいました。万里生君バージョンのRudolfソングも、聴き応えありました。彼は全体的にやや歌の力に寄りかかり過ぎているように思えますが、演技面をもっと意識して磨いていけば、ミュージカル界の若手男優陣の厚みを一層増してくれる存在になると期待しています。

“The Scarlet Pimpernel”、安蘭さんのパーシーが、登場した瞬間から格好いいオーラを出しまくっておられました(笑)。男性コーラス3人を従えていても、全然違和感がないのが凄かったです。歌い慣れた低音で、これまた歌い慣れた歌を披露する安蘭さんは、水を得た魚状態。思わず「あ、こちらが本来の姿なんですね」と心の中でうなずいてしまいました。Mátéの”Where’s The Girl?”は予想外の選曲だったのでびっくりしましたが、凄く合ってました。パンフによると、御本人も聴いた途端に気に入った曲だそうです。”The Scarlet Pimpernel”は子供の頃原作の大ファンで、原書では12~3冊続編が出てると知って、訳が出ていないか図書館で調べて貰ったくらい思い入れがあったのと(残念ながら未訳でしたが)、初めて買ったWildhorn作品のCDだったので、一時期聴きまくっていた思い出があります。

Wildhorn自らのピアノ伴奏で歌う”With Wildhorn”コーナーでは、”A Piece Of Courage”(ひとかけらの勇気)がジャジーなアレンジになっていて、とても素敵でした。20日の昼夜で伴奏がちょっと違ったように思ったのですが、気のせいだったでしょうか? Wildhornの新作”Bonnie & Clyde”(映画「俺たちに明日はない」で知られる実在の犯罪者ボニーとクライドのカップルの物語)から、万里生君が英語で歌った”You Can Do Better Than Me”は、クライドが「犯罪者の自分よりも、君にはもっと相応しい相手がいる」と恋人ボニーに言いつつも、「自分ほど君を愛している人間はいない」と歌うラブソング。歌に入る前のWildhornとのトークで、毎公演Frankファミリーに新規加入し続けた万里生君。さすがに公演も後半になると、Wildhornも苦笑を押さえ切れていなかったので、別パターンも用意しておいてほしかったです。このピアノ伴奏コーナーでも、マルシアの歌からは魂の震えが聞こえました! Wildhorn自身も満面の笑みで、彼女を相当気に入っている様子がよく伝わってきました。”Someone Like You”は名曲ですね! ”Cyrano”からは鹿賀さんの”Alone”と万里生君と岡本さんの”Love Is Here At Last”が日替わりで登場。万里生君のはとてもロマンティックで可愛かったです。岡本さんのロクサーヌ、観てみたいと思いました。”The Gascons”は陽気なガスコン人兵士達のナンバー。バンドも参加しての威勢のいい音楽が、観客の手拍子を誘っていました。再びピアノ伴奏に戻っての最後の曲は、Mátéと安蘭さんのデュエットで”Never Say Goodbye”。Mátéがずっと安蘭さんの手を握っているので、いつ離すのかと気になって見続けてしまいましたが、延々と手は握り続けられていました(笑)。手を握らずに始まった回もあり、安蘭さんが恥ずかしがって避けているのかなと思いましたが、いつの間にやらMátéの手は、安蘭さんの方に伸びていったのでした(笑)。

ところで退場するとき、Mátéがさりげなく安蘭さんの手にキスしていたのですが、Lukasも池谷さんとのデュエットの後で、とても自然に同じ仕草をしていたのが、さすが欧州人だと思ってしまいました。海外のコンサートでは当たり前のように出てくる仕草ですが、日本の舞台で眼にすると、普段見慣れない分どきどきしてしまいました。「羨ましい!」と思った方も多かったのではないでしょうか(笑)。

ラストは”Never Say Goodbye”から3曲。万里生君の”The Girl I Look For”は、舞台への登場時から元気はつらつとしていました。宝塚では男役とはいえ、女声で歌われていた曲なので、男声で聴くのは新鮮でした。「俺はデラシネ」も聴いてみたかったです。安蘭さんの”Truth Of Love”もなかなかいい感じ。”One Heart”は全員で盛り上がりました。”Never Say Goodbye”の話自体は、コンセプトがかなり春江一也の小説『プラハの春』(こちらも宝塚化されましたね)に似ていると思ってしまったので、一歩下がって観てしまった感じがあったのですが、曲は割と良かったなと思い出したのでした。せっかくWildhornに委嘱した作品なのに、再演はしないのでしょうか?

最後に出演者から少しずつ挨拶があり、Mátéが最近お気に入りの日本語「ドロン!」を披露したり(笑)、Lukasが日本の女性ファンのお持ち帰りを希望したり(!?)と、楽しいトークが繰り広げられました。安蘭さんのトークは初めてでしたが、関西人のノリで楽しませて貰いました。ミュージカルコンサートの魅力は、歌だけでなくこうしたトークで役者さん達の素顔に触れられることにもありますね。MátéやLukasのお笑いトークなんて、ウィーンではまず聞けませんよ! しかも通訳付き(笑)!!

全体としては思った以上に楽しめたコンサートでしたが、気になった点もいくつかありました。例えば第2部で作品紹介が殆どなかったこと。パンフレットには今回取り上げられた作品の簡単な紹介が載ってはいましたが、舞台上でも最低限の説明は必要だと思いました。私自身はたまたま”Bonnie & Clyde”は全ての作品を観ていましたが、宝塚を観たことない人には、”The Scarlet Pimpernel”が断頭台送り寸前のフランス貴族達を救う謎のヒーローの物語であることや、”Never Say Goodbye”がスペイン内戦を舞台にした硬派な話であることが、殆ど伝わらなかったのではないでしょうか。数々の作品から名曲を選りすぐって紹介するからには、次にその舞台を見に行きたいと思わせる演出がもっと必要だと思いました。

その点で言うと、チケット価格も気になりました。ミュージカルコンサートを、色々な作品のプレゼンの場だと考えるなら、もう少し気軽に出せる金額設定にして、ミュージカル初心者にももう少しハードルを低くしてほしいです。S席12,000円は、初めての友人を誘うには厳しいです。梅芸だとB席4000円もありますが、これはむしろリピーター用かなと思います。最初にいい席で観れば、遠い席よりも迫力がありますし、感動して次もまた行きたくなる可能性は上がると思うのですが。売れ行きが悪いとなると、得チケが出回ったり、会場限定とはいえ大幅な値下げが行われたりすることがありますが、それより最初から座席のカテゴリーを増やして、様々な選択肢から納得できる値段の席を買えるようにして貰いたいです。

色々書きましたが、一番の思いは是非またこうした企画をお願いしたいということです。素晴らしい曲を最高のキャストで味わえる楽しさは、一度知ってしまえば病みつきになるものです!

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