Ich war noch niemals in New York観劇記(2010年4月)

2010年3月17日にWien(ウィーン)・Raimund Theaterで開幕した”Ich war noch niemals in New York”は、オーストリア出身の歌手・作曲家Udo Jürgensのヒット曲を元に構成したミュージカル。初演は2007年12月2日にドイツ・Hamburg(ハンブルク)のTUI Operettenhaus Hamburgで行われ、100万人以上を動員する大ヒットとなり、2010年11月からはStuttgart(シュトゥットガルト)のApollo Theaterでも上演されることになっています。

劇場の屋根には煙突が取り付けられ、前庭部分には船の舳先を模したパネルが取り付けられていました。大型観光バス3台が横付けされた劇場前は、黒山の人だかり。観客席は60~70年代頃に青春時代を過ごしたと思われる世代の割合が高し。私の周りも、団体でやって来たとおぼしきおばさま方の集団で固められていました。

チケットを予約しようとしたところ、連日満席続きで、かろうじて2階(1. Rang)左手の柱の陰になる10 EURの席が1席残っているだけでした。当日劇場窓口で聞いたところ、残席は10 EURの席か団体向けチケットの戻り分しかなく、この戻り分については定価販売のみになると言われ、そのまま予約した席で観劇しました。柱の陰になると言っても、少し離れていたので、視界の中心からやや右側に1 cmほどの黒い線が縦断するものの、全体は良く見えました。むしろ前の人の頭の方が気になるくらい。Ronacherのボックス席最後列とは雲泥の差でした。

ところでRaimund Theaterは昔から写真撮影には厳しい劇場でしたが、遂に劇場入口のガラス戸に写真撮影禁止マークがつけられていました。キャスト表の横にも同じマークがあり、撮るのがためらわれました。上演中でなければ劇場内部の写真を撮っても構わないとは思うのですが、気が引けるので止めました。

2010年4月29日(木)19:30
Lisa Wartberg: Ann Mandrella
Axel Staudach: Andreas Lichtenberger
Maria Wartberg: Inge Maux
Otto Staudach: Helmut Wallner
Fred Hoffmann: Andreas Bieber
Costa Antonidis: Gianni Meurer
Florian, Axels Sohn: Can Özdemir
Kapitän: André Bauer
Gertrud Grabsteindl: Sabine Mayer
Frau Menzel: Natalya Bogdanis
Steward: Norbert Kohler
Kellner: Patrick Schenk

人気テレビ司会者のLisa Wartbergは、キャリア形成に忙しく、スタジオでゲイのスタイリストFredやFredの彼氏のギリシャ人Costaに囲まれて、女王様のように振る舞っています。一方でLisaの母親Mariaは、高齢者施設で管理人のGrabsteindl女史の厳しい監視に怯えつつ、恋人のOtto Staudachと共にNYの自由の女神像の下で結婚式を挙げる夢を見ています。ちなみにGrabsteindlは「墓石」の意味で、彼女の名前が出た途端、観客席は爆笑の渦に包まれておりました。遂にMariaとOttoは脱走を決意し、旅行社でLisaの名前で一番安い船室を予約し、イタリアのTriest(トリエステ)からNY行きの船に乗り込みます。

施設からの連絡で母親の脱走を知ったLisaはびっくり仰天。もし施設を放り出されたら、母親の行き場所はなくなってしまうと恐れたLisaは、施設に向かいます。そこで偶然出会ったのが、Mariaの恋人Ottoの息子である野生動物専門の写真家Axelと、その息子Florian。AxelもLisaと同じく父親を翻意させようとしていますが、目的は同じでもお互いの印象は最悪。一同は旅行社に向かい、LisaはNY行きの船の最後に残っていたスイートルームを予約します。Lisaの車がなくなってしまったので、彼女は仕方なくAxelのジープで親子と一緒に港に向かうことにしますが、道中二人は喧嘩ばかり。しかもトリエステでは船を捕まえることが出来ず、Genua(ジェノヴァ)に向かう羽目に。カーナビがあるにもかかわらず、道に迷いまくる一同。反発しつつも、Alexが今は別れたFlorianの母親との思い出を語るのを聴き、彼との心の距離が少し縮まるLisa。

船員の勘違いから、一番安い船室ではなくLisaが予約したハネムーンスイート(!)に通されたMariaとOttoは、ピアノまである豪華な部屋やシャンパンにびっくり。素敵な旅を楽しむことに決め込んだMariaとは裏腹に、不安にかられるOtto。彼の予感は程なく当たり、船に追いついたLisaとAxel、Florianに見つかってしまいます。そこにLisaに命じられて一足先に船に乗り込んでいたFredとCostaも加わり、登場人物が勢揃い。LisaとMaria、AxelとOttoの二組の親子は和解できるのか、MariaとOttoはNYに行けるのか、そしてLisaとAlexの仲はどうなるのかというのが後半の見所ですが、後は見てのお楽しみといたしましょう。

Lisa役のAnn Mandrellaは、”Rudolf”のDrew Sarichの奥様で、双子のお母さん。ウィーンでは”Chicago”や”Wake Up”等に出演したことがあります。今回の出演は、オーディションで決まったそうです。背が非常に高く、ヒョウ柄のスーツが似合う美人で格好いいキャリアウーマンは、彼女のイメージにぴったり。女王様な性格(御本人はそんなことないと思いますが)を迫力たっぷりに演じていました。Musicalclubのインタビューで、共演したいと思う相手にDrewを挙げていましたが、是非二人を一緒に見てみたいです。

Lisaの相手役Axelを演じるAndreas Lichtenbergerも大柄で背が高く、Annと並ぶと迫力満点。自由を愛するワイルドなイケメン写真家役に、これまたはまっていました。息子の小生意気な少年Florianとの友達親子のような関係が良かったです。Florianは12~13歳の4人の少年によって演じられるそうで、初日に演じたJulian Fritzは、”Tanz der Vapmire”のGernot Kranner(Prof. Abronsius)が3年前に設立した子供のためのミュージカルアカデミーに在籍しているそうです。今回出ていたCan Özdemirも歌やダンスにキレがあり、将来が楽しみだと思いました。

MariaとOttoは演劇界から著名な俳優が参加しているとのことでしたが、今回は二人ともWalk in Coverでした。ただカバーのInge MauxとHelmut Wallnerは歌の経歴が長く、特にMaria役のIngeは後でCDで聴いた本役よりも歌は上手かったと思いました。

Andreas Bieberは、”The Producers”のLeo Bloomで見せたコミカルな演技を、Fred役でも楽しませてくれています。まさに全身でサービスしてくれていると言っても過言ではない彼の演技やダンスは、高レベルの出演者の中でも一際輝いていました。”Elisabeth”でRudolfのオリジナルキャストを務めた時代からもう18年も経っているというのに、キュートな青年Andyのイメージは変わりません。恋人Costaとの出会いを回想する彼が、甘い声でヒット曲”Griechischer Wein”(ギリシャのワイン、作詞はかのMichael Kunze御大)を歌い出すと、観客もノリノリ。ウィーンの劇場では滅多に聴かれない手拍子が起こったのには驚きました。

ウィーン・ミュージカル・コンサートで来日したAndré Bauer演じる船長は、生真面目な役。御本人の楽しい性格を知っていると、しかめっ面をしていても面白く見えてきます(笑)。

元々ある曲をつなげてミュージカルにしているため、歌の部分は時にはレビューと化し、観客席の皆様はコンサート気分で往年の名曲を味わっているようでした。恐らく来ている人は殆どの曲を知っているようでしたが、逆に全く知らない私には観客の熱狂ぶりについて行けない部分もありました。とはいえさすが名曲の数々、耳に残るメロディーが多く、迷わずCD購入を決めました。コメディなので、言葉が分からなくてもある程度の話は分かりますし、パンフレットには英語の粗筋も載っています。出演者のハイレベルな歌唱力や迫力満点のダンス、カラフルな衣装にどこかキッチュな舞台装置も、劇場で楽しい時間を過ごされたい方にお薦めです。私自身、想像していたよりずっと楽しめました。

初日のライブ録音盤の曲目に、パンフレットに載っていた英語タイトルを添えてみました。Kunze御大作詞のナンバー末尾に*印をつけてあります。

Ich war noch niemals in New York – Original Wien Cast 2010

1. Ouverture
2. Vielen Dank für die Blumen (Thanks for the Flowers)
3. Alles, was gut tut (Do anything that does you good) *
4. Ich war noch niemals in New York (I’ve never been to New York) *
5. Ich war noch niemals in New York –Traumsequenz *
6. Alles im Griff auf dem sinkenden Schiff (Everything in Hand on the Sinking Ship)
7. Wie könnt’ich von Dir geh’n (How Could I Leave You)
8. Siebzehn Jahr, blondes Haar (Seventeen Years Old, Blond Hair)
9. Schöne Grüße aus der Hölle (Greetings from Hell)
10. Mit 66 Jahren (At 66 Years of Age)
11. Immer wieder geht die Sonne auf (The Sun Always Rises)
12. Vater und Sohn (Father and Son) *
13. Ein ehrenwertes Haus (A Respectable House) *
14. Merci, Chérie
15. Ich weiss was ich will (I Know What I Want)
16. Griechischer Wein (Greek Wine) *
17. Bleib’doch bis zum Frühstück (Stay Till Breakfasttime) *
18. Wie könnt’ich von Dir geh’n (Repr.) (How Could I Leave You)
19. Aber bitte mit Sahne (With Cream, Please)
20. Gib mir deine Angst (Give Me Your Troubles) *
21. Was wichtig ist (What Counts) *
22. Heute beginnt der Rest deines Lebens (The Rest of Your Life Begins Today) *
23. Mega Mix

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