Tanz der Vampire in Berlin 2012年7月

2012年7月ドイツの旅、Berlin(ベルリン)で”Tanz der Vampire”を観劇しました。何度も観たTDVですが、ドイツ語圏での上演は2013年1月で一旦終了。恐らく今回が見納めになるかと思うと、一抹の寂しさがありました。

今回のお目当てはThomas Borchert。Wien(ウィーン)で4回も振られたので、出演スケジュールを調べてはいましたが、実際にキャスト表を見るまではドキドキしてしまいました。

公演に先立ち、バックステージツアーにも参加しました。なおツアー開始前に、既にチケット販売窓口上のスクリーンに当日のキャストが出ていました。当日券はキャストを見てから買えそうです。ツアー参加者は15名程。劇場ロビーに集合し、係員の案内で楽屋口からスタートしました。権利上の理由で写真撮影は不可。普段は立ちいることの出来ないドアの奥には狭い階段があり、それをかなり上まで登って行きます。まずは衣装スタッフの作業部屋。丁度出演者の衣装合わせ中とのことで、しばし部屋の前で説明を聞くことに。衣装は全てハンドメイド、最も高価な物は吸血鬼達が甦る”Ewigkeit”(永遠)の場面に登場し、5000 EURもするそうです。衣装は週に1〜2回洗濯しますが、手洗いが必要な衣装もあり、なかなか大変なようです。吸血鬼の長い爪が付いた手袋もありました。これは時間短縮のためですが、伯爵の爪は一つ一つ付けているそうです。

カツラ部屋では丁度女性出演者のヘアメイク中。スタッフが二人掛かりで器用に髪を巻いてはピンで留め、水泳帽のようなキャップの下に収めていきます。カツラは全て人毛で出来ており、シャンプーやリンスで手入れしています。最も高価なカツラは伯爵とSarahのもの。確か3000 EURと言っていたと思います。同じ役でも髪型毎に別のカツラが用意されています。

一行は舞台の上へ。Wien(ウィーン)のRonacherでも”Tanz der Vampire”公演中にバックステージツアーで舞台に上がったことがありますが、Theater des Westensの舞台の意外な小ささにはびっくりしました。建物自体が小さいため、楽屋は何と舞台の奥に作られています。”Black Box”と呼ばれる黒いカーテンで周囲を覆われた2階建ての構造物の内部は大部屋になっています。1階のカーテンが大きく開いており、外から化粧台や衣装ハンガーが見えました。1階は女性、非常階段風の外付け階段を上がって入る2階部分が男性用です。ここで各場面の衣装への早替えが行なわれるわけです。アンサンブルの人数の都合上、農夫の一部を女性が演じている場面があるそうです。探してみて下さいと言われましたが、気がつきませんでした(苦笑)。

“Black Box”の階段の奥に、モニター機器が見えました。Ronacherでは楽屋の外の壁にかかっていた出演者用のマイクは、Theater des Westensではここで受け取るそうです。マイクは200~300 EURと比較的安い(!)とか。一人の出演者が身につける衣装や小道具を合わせると10,000 EURにも達するという話でした(桁を聞き間違っていないかちょっと自信がありませんが、一人で複数の衣装を着ればそのくらいはいきそうです)。

舞台上には悪夢の場面のベッドが置かれていました。客席からは大きく見えるベッドですが、実際の奥行きは大変短く作られており、横幅の方が長いくらいでした。これは横たわった俳優の姿がベッドに埋もれて、客席から見えなくなるのを防ぐための工夫だそうです。

舞台と客席の間には万一に備えて鉄製の緞帳が設けられています。毎日消防署が動作点検に来るそうで、丁度私達が舞台上にいるときに、緞帳が降りて来る様子を見ることができました。僅か十数秒という速さには、何トンもの重さがあるようには見えません。案内係の女性曰く、Theater des Westensでは今のところ公演中断になったことはないので、この後の公演も95%の確率で滞りなく進行すると思われるとのこと。万一中断した場合はロビーで飲物が無料で振る舞われるそうです。お陰様で無料ドリンクサービスは体験せずに済みました。

ツアーは関係者区域から一般客が入場を開始している劇場内へと場所を変えます。ロビー階段の踊り場に設けられている開かずの扉は、一般客に見られることなく皇帝が入場できるように作られましたが、実際に使われたことはないそうです。1時間余りのツアーはロビーで解散。公演チケットを持っていない人は、係員に誘導されて退場していきました。

開演までしばらく時間があったので、TDV特製キールロワイヤルを飲んでみました。グラスの口にピンクの砂糖がまぶされていてお洒落です。

念願のThomas伯爵は、想像通りの迫力と長身の存在感。安心して聴けるKrolockでした。逆に言うとCDで聴いた以上の何かは感じられなかったように思いました。Krolockとしては声質は王道でなかったDrew Sarichの方が演技的には孤独さや独特のセクシーさに溢れていて、個人的には見ていて緊張感がありました。

前回は赤いブーツが用意されていなかったハプニングを乗り越えた、度胸が座ったセカンドのAngelina MarkiefkaがSarahでしたが、今回はファーストキャストのAmélie Dobler。素朴な村娘の印象が強かったAngelinaとは反対の都会的な可愛い顔立ちのSarahで、ロングトーンが減衰しないパワーのある歌声でしたが、豊かさや膨らみに欠けて平板に聞こえました。ファーストキャストならもっと上手いと思っていたのですが…。逆に前回期間限定でAlfredをやっていたAnton Zetterholmがとても良かった分、あまり期待していなかったレギュラーAlfredのMichael Hellerが、感情のこもった細やかな演技で良い意味でのサプライズをもたらしてくれました。教授は前回同様ファーストキャストのVeit Schäfermeier。こちらも安定感のある演技でした。

写真はホテルの部屋から見た劇場。楽屋口は写真で写っている部分よりもう少し奥です。

キャスト表は終演後にグッズ売場のカウンターに置かれていました。

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2 Comments

  1. spaさん、念願のThomas伯爵よかったですね。3年前初wienで観た伯爵がラッキーなことにThomasでした!CD通りの迫力のある声と青い眼とその大きさに怖かった印象があります。
    CDでしか知りませんがSteve Bartonの方がヴァンパイアの悲哀を感じたように思いました…
    その時一緒にみたRudolfと同じ演出での日本再演を今日観ましたが、ほぼwien版と同じでした。初演より分かりやすく深く大人の舞台でした。
    それにしても、そのRudolf皇太子のDrew SarichがKrolock伯爵になったり、Rockyになったり…いろいろな役をできるんですね…観てみたいものです

  2. waiwaiさん、ここ数年のTDV観劇であればThomas伯爵を体験しているのが普通なのに、こんなギリギリまで見られないとは、ある意味スリリングでした(笑)。Steve Bartonは私の初Krolockでした。あまりにも素晴らしかったので、同行の友人に無理を言ってもう一度観たのが懐かしい思い出です。TDVファンにとってはSteveは別格の存在、最高の伯爵として語り継がれています。

    "Rudolf"再演版、私も観てきました。ビジュアル的にはウィーン版をほぼ再現していましたね。一方で世紀末ウィーンの世界観、空気感を日本人キャストで表現するのはなかなか難しいなあとも思いました。

    Drewはマルチプレイヤーですね! RudolfもKrolockも最初は「Drewがやるの?」と思いましたが、どちらも素晴らしい解釈を見せてくれました。彼は今最も脂がのっている、是非観ておくべき役者さんだと思います。機会があれば是非!

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