2017年3月から4月にかけてのドイツ・オーストリア観劇旅行、今まで都合がつかず見送っていたUwe Kröger出演作品を短期間でまとめて見られる絶好の機会となりました。
初日はドイツ・München(ミュンヘン)のDeutsches Theaterでブロードウェイミュージカル”The Addams Family“(アダムス・ファミリー)を観劇しました。
Deutsches Theaterは建て替えのために2008年からMünchen郊外のサッカースタジアムAllianz Arena近くの仮設テント劇場に移転していましたが、2013年秋に再び元の場所である中央駅近くのSchwanthalerstraße(シュヴァンターラー通り)に戻ってきました。私は仮設劇場時代にUweが出演した”Hairspray“(ヘアスプレー)を観に行ったことがありましたが、現在の劇場での観劇は今回が初めてでした。Deutsches Theaterでは2017年11月に”Der Glöckner von Notre Dame“(ノートルダムの鐘)の上演も予定されています。
München空港からはルフトハンザバスで公称45分となっていましたが、夕方は渋滞が酷く、中央駅北側の停留所まで70分かかりました。19:30の開演に間に合うかとちょっぴりやきもきしましたが、何とかホテルで一息ついてから劇場に向かうことが出来ました。ルフトハンザバスのチケットはネットでプリントチケット購入の場合10.50 EUR(往復17 EUR)、乗車時に運転手から購入すると大人片道11 EUR(往復18 EUR)(2017年3月現在)。無料Wi-Fi利用可能。電車もS1及びS8が中央駅まで通っています(乗車時間48~53分)。時刻表は市交通局MVVのサイトで検索可能です。
中央駅周辺から劇場に向かう途中のSchillerstraße(シラー通り)は治安が悪いと聞いていたので、おっかなびっくりでしたが、平日の夕方は普通に通勤客等で賑わっていました。風俗系の店があちこちにあるものの、特に危ない感じはしませんでした。但しこれはあくまで一例で、あまり良い雰囲気の場所ではないことは常に留意しておくべきでしょう。
Deutsches Theaterのすぐ隣にはHotel Deutsches Theater Stadtzentrumがあります。私は利用していませんが、終演後すぐに帰れるという意味ではいいかもしれません。
ロビーの照明は作品の雰囲気に合わせて緑色。キャスト表はロビーのスクリーンに表示されていました。クロークは2 EUR、保険代込みだそうでちょっとお高め。パンフレットは5 EUR。
日本式の1階席に当たる平土間(Parkett)は、7列目から2列ごとに段差がついています。前方席は段差なし。前に背が高い人が座るとかなり見えません。そして背が高い人が座る確率は決して低くはありません! 改修したにも関わらず、この見にくさは一体・・・。センターだったので視界の中央に人の頭が来てしまい、かなり首が疲れました。少し遠くなりますが、背が低い人は2階席(1. Rang)にした方がストレスは少ないかもしれません。
2階席からの眺め。
The Addams Family
2017年3月23日(木)19:30
Familie Addams
Gomez Addams: Uwe Kröger
Morticia Addams: Edda Petri
Wednesday Addams: Marianne Curn
Pugsley Addams: Moritz Spender
Onkel Fester: Oliver Mülich
Grandma Addams: Tanja Schumann
Lurch: Gerhard Karzel
Familie Beineke
Alice Beineke: April Hailer
Malcolm Beineke: Andreas Zaron
Lucas Beineke: Benedikt Ivo
Die Ahnen
Marie Antoinette: Monika Dehnert-Freeman
Burgfräulein: Janina Moser
Charleston Girl: Maja Sikora
Traurige Braut: Henriette Schreiner
Casanova: Philipp Sievers
Steinzeitmensch: Alexander Leder
Highlander: Marc Schlapp
Richard Wagner: Matthias Knaab
Dirigent: Scott Lawton
『アダムス・ファミリー』は2014年に日本でも上演されましたが、映画と内容はさして変わらないだろうとたかをくくっていた私は、うかつにも観劇を見送っていました(実際はミュージカル版オリジナルストーリーです)。Uweが出ることを当時知っていれば迷わずに予習しておいたのですが・・・。ただ嬉しいことに2017年10~12月に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場ホール他での再演が決まっているので、今度こそ観に行こうと思います。
事前にドイツ語版”The Addams Family”2枚組CDを購入しておいたにも関わらず、結局予習なしで臨むことになってしまいましたが、アダムス家の長女Wednesday(ウェンズデー)が一般人の恋人Lucas(ルーカス)との結婚を目論見、彼の一家をアダムス家のディナーに招待して一騒動起きるというドタバタ劇だったので、時差ぼけと戦いつつも楽しく観劇出来ました。
開演前、左右の幕が中央で重なった部分をハンド君が上下に動き回ると、全身モップのようなCousin Itt(カズンイット)が幕の間から登場し、奇声を発しながら携帯の電源を切るように観客に注意を促して、つむじ風のように去って行きました。
お目当てのUweのGomez(ゴメス)、スペイン訛りを効かせたぐるぐると舌を巻いた台詞回しがキャラクターのアクの強さを際立たせていました。”Elisabeth“(エリザベート)のDer Todや”MOZART!“(モーツァルト!)のColloredoのオリジナルキャストである一方、Gomezや”Hairspray“のEdna Turnblad、”La Cage aux Folles“(ラ・カージュ・オ・フォール)のAlbin/Zazaといった濃いキャラクターを演じられる演技の幅の広さこそが、Uweがドイツ語圏No. 1のスターと評される所以でしょう! 恋人との結婚計画を母親のMorticia(モーティシア)には内緒にして欲しいと言う娘と、自分には隠し事はしないで全てを打ち明けて欲しいと迫る妻の間で板挟みになって悶え悩む姿は、本人的には苦悩の局地なのでしょうが、見ているこちらとしては笑いが抑えられないコミカルさ! ゾンビダンス(?)にラテンダンスと踊る場面も切れ味たっぷり。歌は正直全盛期のような張りは薄れているとは思ったものの、エネルギッシュな演技で弾けまくるUweの凄さの方が上回りました。総合的にさすがUweと思わせるGomezでした!
Edda Petri演じるMorticiaは、映画から抜け出てきたような再現率の高さ! 薔薇の花を切り落とし、茎と葉だけを花瓶に生ける仕草ににやり。長い黒髪と胸の谷間を惜しげもなく見せるセクシーなロングドレス、日本版では胸元の露出は大分抑えられていたようですが、その点欧州では何の遠慮もないようです。UweのGomezとも息がぴったり。不気味な色気を醸し出す容姿や行動の一方で、娘を心配したり夫に腹を立てたりと普通の母親らしい面を見せるギャップも魅力的でした。
Wednesday役のMarianne Curn、不気味な表情ではありますが、声がとても可愛くて演技も上手い! 弟を縛り付けて拷問したり、恋人の頭にリンゴを載せて矢で射ようとする等、行動は常軌を逸しているWednesdayですが、彼女は彼女なりに健気で愛らしい女の子なのだと感じられました。Uweと並んでこの公演で最も印象に残ったキャストでした。CDに収録されているWednesdayが彼女でないのが残念!
Pugsley(パグズリー)役のMoritz Spender、姉のWednesdayに拷問されてギャーッと甲高い声で叫ぶ姿は可哀想なはずなのに、やはり笑えてしまいます。ふてぶてしさもぴったり。
Onkel Fester(フェスター伯父さん)のOliver Mülichは、Wien初演版”MOZART!”で途中からSchikaneder(シカネーダー)のファーストキャストになった人で、大変懐かしく感じました。当時より顔と横のサイズは1.5倍くらいになっていましたが、すらりとしたアンサンブルメンバーに負けない踊りっぷりにびっくり! 途中でミュージカル界を離れる人も沢山いる中、こうして息長く舞台に立っている姿を見ると嬉しいものです。
執事のLurch(ラーチ)は殆どまともな台詞はないですが、後半少しだけ聞けた声はこれだけとは勿体ない美声! 終演後同役を演じたGerhard Karzel御本人とお話出来たので、良い声があまり聞けなくて残念でしたとお伝えしたところ、大変喜んで下さいました。
ドイツ到着日の観劇だったため、後半やや気力が続かなかった部分があったので、機会があればまた見てみたいと思いつつ、ようやくCDを聴いております。
次の動画はMünchen公演のトレイラーですが、映像は2014年のドイツ初演Merzig公演のものです。Wednesday AddamsはJana Stelley、Lucas BeinekeをDominik Hees、Onkel FesterをEnrico DePieri、Mal BeinekeをEthan Freeman、GrandmaをAnne Welteが演じるという超豪華なメンバーでした。
こちらはMünchen初日の模様。ロビーでの観客インタビューの間に舞台映像が紹介されています。Uweのキレキレダンスも見られます。
“The Addams Family“ドイツツアー公演の公式サイトには舞台写真が豊富に掲載されています。
いつの間にかドイツでは各地で”The Addams Family”の上演が行われるようになっていますが、やはり見るならUwe出演のこのカンパニーでしょう! この先Berlin(2017年5月17~21日)やWien(2017年10月25~29日)でもまだ公演があります。前回のWien公演に遠征したドイツの友人は、当日券を狙った公演が完売で見れなかったそうです。2017年秋に上演20周年記念公演が行われる”Tanz der Vampire“と合わせるのにお薦めです。
Deutsches Theater
Schwanthalerstraße 13
80336 München
Germany
https://www.deutsches-theater.de//
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中央駅北側、空港バスの停留所の真向かいにはEden Hotel Wolffがあります。劇場に近い中央駅南側の方が治安は良くないという話ですが、以前駅からすぐ見える範囲の大通りに面したホテルに泊まった際は、特に問題は感じませんでした。南北いずれにせよ、大通りに近い評価の高いホテルを選ぶことをお薦めします。
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