東宝版エリザベート観劇記 2012年9月

“Elisabeth” Wien(ウィーン)初演20周年にあたる2012年5月から9月にかけて四大都市公演を果たした東宝版『エリザベート』。9月1日の大阪初日を見て来ました。

まずは何と言っても全編日本語でトートを演じたMáté Kamarás(マテ・カマラス)に、惜しみない拍手を送りたいと思います! コンサート等で”Elisabeth”の楽曲を日本語で歌うのは何度か聴いていましたが、全編通しで聴くと、改めて凄いことをやってのけたものだと感動に近い感心を覚えました。心の中で何度も「凄い・・・!」と呟いてしまいました! 大分絞ったようですっきりしたスタイルも、ポスターよりも男性的なイメージなビジュアルも素敵でした。皆さんが絶賛される気持ちがよく分かりました(笑)。日本語になってもやはり欧州人、お腹の底深くから出る声の力強さと感情がこもった迫力ある演技に引き込まれました。同じ役でもドイツ語やマジャール語ではやり慣れた余裕があると思いますが、日本語での演技は気が抜けないことでしょう。良い意味での緊張感が演技に出ていたように感じました。

一方でMátéの溢れるパワーが東宝版の枠組みの中で窮屈に押し込められているように見える部分もあり、ちょっと勿体ない気がしたのも事実です。トリプルキャストなので、同じ役を演じる他の役者さん達との兼ね合いもあるのでしょうが、Mátéならもっと出来るはずと思うこともありました。少々ネタバレですが、ラストでエリザベートをお姫様抱っこで棺に納める場面、エリザベートを抱えたまま立ち去らないのかと残念に思いましたが、友人曰く他のトートの方々はそもそもお姫様抱っこ自体をしないとか。次回観劇時に確認してみます。カーテンコールでエリザベート役の春野寿美礼さんの手を取ってキスする様はさすが欧州人、このテイストは日本男子にはなかなか出せません。春野さんが照れているのが微笑ましかったです(笑)。

エリザベート役の春野寿美礼さん、『マルグリット』のような大人の女性のイメージがあったので、若い頃のシシィはどうかなと思っていましたが、意外にも前半の少女時代の方が良かったです。後半は私の好みとしてはもっと低音よりが良かったのですが、少女の高い声のまま年を重ねた役を演じている気がして、少々違和感がありました。

フランツ・ヨーゼフ役は岡田浩暉さん。席が遠かったのもあって、冒頭の墓場の場面で「ルドルフが二人いる!」と思ってしまいました(笑)。若々しいイメージの皇帝陛下でしたが、後半はしっかり老いた姿になっていたのもびっくりでした。全体的に上品で薄味な素敵オーラの出ている陛下でした。

ゾフィー役の寿ひずるさんは見た目も声も演技も皇太后にぴったり。フランツ・ヨーゼフに愛人をあてがおうと画策する場面で、皇太后の威圧感に臣下達がたじたじとなっている様にはにやっとさせられ、ゾフィーの死の場面では、トートダンサーズに腕を抱えられて舞台奥に消えていく姿に、人の世の儚さを感じさせられました。

ルドルフは古川雄大さん。長身で宝塚から抜け出したようなビジュアルでした。初めてのルドルフ、きっと大変だったことでしょう。歌はちょっと怪しいところがあったものの、頑張っていると思いました。

少年ルドルフは山田瑛瑠君。演技も歌もしっかりしていて上手でした。カーテンコールで観客の手拍子を操っていたのが面白かったです(笑)。

キャストの感想は日替わりの部分だけにしておきます。東宝版を観たのは久しぶりだったので、ハンガリー貴族達の場面等、日本独自の箇所は「そういえばこんな場面も追加されたのだったなあ」と復習する気持ちになりました。個人的にどうしても違和感があるのはトートダンサーズ。上半身裸のダンサー達が踊る姿は、”Tanz der Vampire”の悪夢の場面のようでした。TDVならいいですが、半裸は”Elisabeth”の世界観には合わないと思うのです。『最後のダンス』でダンサーの人数が多いのも、エリザベートとトートの二人の世界が邪魔されているようで落ち着きません。ルドルフが逮捕される直前のダンスシーンは、舞台全体が突然宝塚になったようで、唐突な感じがしました。また場面と場面のつなぎに時々オリジナルにはない間奏曲が入るのも、音楽の流れが断ち切られるようで、個人的には不満を感じた部分でした。

ロビーの大きなボードには出演者の写真がずらっと飾られていました。メインキャストは額縁入り。韓国の劇場を思い起こさせる派手な演出、日替わりキャストの確認用になかなかいいと思いました。

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10 Comments

  1. マテの「日本語トート」を絶賛のコメント、ありがとうございます。spaさんは初日に行ってらしたのですね。中日劇場のJuliさんのコメントもよかったということでしたので、来週末の観劇が待ち遠しいです。観劇後には客観的ではない(間近で観るのでとても無理そうです)コメントさせていただきますね。
    ウィーン版の情報もありがとうございます。年末のことですが、ワクワクです。ライヴCDやグッズも買ってしまいそうです。
    Sister Actも観るので、Patrickがでるというのを伺って楽しみが増えました。もっとちゃんと予習をしておかなくちゃという気持ちになっています。

  2. Märzさん、Mátéはまさに頑張っていましたよ(笑)。感想は思いっきり主観的な方が楽しいので、Märzさんの思いのたけをどうぞ心ゆくまでご披露下さい!

    ウィーン版は色々調べているだけでも気持ちが盛り上がってきました。私も早く見に行きたいです。Patrickの"Sister Act"も是非観たいです!

  3. spaさん、東宝版ご覧になったのですね。
    日本語マテトート、凄いですよね!
    帝劇初日はこちらも緊張して観てしまいましたが、舞台に出てきたら、衣装も似合っていて美しく、存在感もあって、私も「凄い、凄い」と思いながら観てました。

    ちなみに最後のお姫様抱っこは、東宝では若いトートだけみたいです。前回2010年では、城田優トートだけやっていました。
    若いトートだけといえば、闇広でポールをスーッと降りてきたりします。他のトートは梯子を使います。
    そういえば、マテの衣装も城田トートに似てます。

    そして、ルドルフのダンスシーン。東宝版ではルドルフが大きな役になっているので、ルドルフのシーンを多くするためにあるのかなと思います。私は、ダンスシーンも含めて東宝のルドルフのシーン、結構好きです。ただ、前回までやっていた浦井健治さんのように歌って踊れる人をお願いしたいですが・・・古川さんは今回の中では一番踊っていると思いますよ。
    トートダンサーズは、確かにTDVみたいですね(笑)

    spaさんは、他のトートもご覧になるのですね。また感想をお願いします。

    Märzさんの感想も楽しみにしています。

  4. spaさん、こんばんは。時々訪問させていただいているkonです。

    東宝版をご覧になったんですね!私も東宝版のmateにすっかり魅了されました。帝劇・名古屋と観まして今月彼の大阪千秋楽も行く予定です。

    帝劇でのmateの初日も観たのですが(客席にmateのお母様もいたそうです)正直、日本語の不安定さを感じ、ハラハラしながら観ていました。
    ですが、観る度にどんどん進化していって、観終わる度に「今までで一番良かった」と言っていました(笑)
    言葉が一番不自由なのに、東宝版を自分なりに咀嚼し一番理解して演じているのはmateだなぁと感じました。言葉をこえて伝わってきて本当に感動しました。
    先日開幕したWien版Elisabethで愛と死の輪舞が追加になったそうですが、10月のコンサートでも歌ってくれないかな…と期待しています。

    spaさんの東宝版の他のキャストの感想楽しみにしています。長文失礼いたしました。

  5. juliさん、色々と解説ありがとうございました。城田トートは気になりつつも見逃してしまったので、今回参加してくれればと思っていたのですが、見られなくて残念でした。ポールと梯子の違いもチェックポイントですね。次回心得ておきます。

    ルドルフはウィーン初演版では本当に出番が少なかったですが、後のバージョンで皇帝との言い争いの場面が追加されたりと、段々登場場面が増えてきています。ルドルフの役者さん自体はアンサンブルとしても出番がありますが、今回の東宝版ではミルクのシーンにルドルフは出ていませんね。ウィーン版ではカフェやミルクのシーンで隠れルドルフを探すのがちょっとした楽しみです。浦井さんのルドルフ、デビューの時に見たきりですが、とても良かった覚えがあります。当時はこんなにビッグになるとは想像していませんでした。井上芳雄さんから始まって、ルドルフ役は良い役者さん達を産み出していますね。

    トートは未見の石丸さんを観に行く予定です。『GOLD』のロダンや『ジキルとハイド』のタイトルロールがとても良かったですが、全然タイプの違うトートをどう演じられるのか、楽しみなようなドキドキするような思いでいます(笑)。

    konさん、お久しぶりです。Mátéに心を奪われた方がまた一人現れましたね(笑)。彼の進化を一緒に体験出来る貴重なこの数ヶ月、悔いのないように全力で応援して下さいませ! 私も東宝版を観ながら、やはり彼が一番作品を分かっているなあと思いました。ウィーン来日公演版も楽しみです。『愛と死の輪舞』はありませんが、東宝版が終わってもきっとまたコンサート等で聴ける機会がありますよ! Mátéは今後も日本で活躍することでしょう!

  6. こんにちは、お久しぶりです!
    東宝版、マテでご覧になられたんですね!
    私も9月3日の20周年記念日に、梅田での公演を見てきました。生でマテを見たのは初めてで、元々ファンだったのがもっと好きになってしまいました。日本語でも伝わってくる彼の歌声の力強さに鳥肌がたって止まりませんでした。デモ映像の時や記者会見の時よりもさらに日本語での歌に磨きがかかっていて、マテらしさが出ていて聞き惚れてしまいました…。
    しかも私が見にいった9月3日が記念日だった為に、公演の後マテの歌唱披露が行われ、マテが日本版トートの衣装でドイツ語での『最後のダンス』を歌ってくれたのです。
    席も前の方だったので、気付いたら感動と嬉しさで涙が溢れていました。マテが生で『最後のダンス』をドイツ語で歌っているのを聞けると思っていなかったので…。
    日本でのマテ人気がぐーんとあがったなと思う東宝版でした。きっと20周年のコンサートに行こうと思う方も増えたのではないでしょうか…。
    Wienの方でも、愛しのMarkの衣装が見れたり、愛と死のロンドが追加になる知らせやCD発売のニュース聞けたり、嬉しい事が沢山起こっていて幸せでいっぱいです。
    これからもspaさんのブログで情報が得られるのを楽しみにしています!いつも本当にありがとうございます!

  7. spaさん、石丸トートを観に行くのですね。
    私は石丸さんはトートしか観ていないのですが、とっても歌が上手ですよね。聞きほれてしまいました。
    城田トートは、若いけど『静』の冷たいトートで他のトートとまた違っていました。とにかく若くて美しくて、城田トートにもはまって通ってしまいました(笑)

    それから、今回のルドルフの役者さんは、ミルクの場面には出ていませんが、ハンガリーを訪問する場面で国旗を振る人でちょっとだけ出ています。確か舞台の奥の方だったと思います。
    今回のミルクには、ルドヴィカ役の春風さんとか年上の方々が参加しているようです。

    konさん、マテは私も観る度に「今までで一番良かった」と思いました。梅田も楽しみですね。

    myuさん、3日の公演をご覧になったのですね~
    日本版の衣装でドイツ語で歌うマテ、うらやましいです!
    梅芸のHPでその日の写真だけは見ましたが、実際に観る事が出来たら、感激ですよね!

    梅田の公演は最初の1週間にイベントがいっぱいありますよね。
    私は遠いので何度も観に行けなくて残念です。
    大阪の方々がうらやましいです。

  8. myuさん、ようこそ大阪へ! "Elisabeth"20周年のまさにその日にMátéのトートをご覧になったとは、本当に素晴らしい奇跡のような体験をされましたね。しかもドイツ語での生歌付き! 私もその場にいたかったです。映像と生はやっぱり迫力が違います。その場の空気感を味わえたこと、きっといつまでもmyuさんの心に残る思い出になったことでしょう。myuさんの感想を伺って、私も初めて"Elisabeth"を観たときの衝撃と感動を改めて思い出しました。

    ウィーン公演も始まって、動画レポートが挙がってきています。Markの姿も沢山出ているので、是非ご覧になって下さいね。メイキングではMarkの楽屋も登場しますよ。Markの素敵な笑顔を現地で見る日が楽しみですね!

    juliさん、ルドルフの登場シーン解説ありがとうございました。見逃さないようにしないと! 石丸さんは個人的にはトートらしいタイプのようには思っていなかったのですが、どんな演技と歌を見せてもらえるか楽しみにしています。城田さんはロミオが素晴らしかったので、トートを観られなかったのが本当に残念です。大阪に来て欲しかったです。

    梅芸エリザベートのイベント、最初の一週間はほぼ平日昼間の公演しかなかったので、遠方の方と条件は同じだなあと思ってしまいました。でも記念の小冊子は初日に頂きました。各国の公演が紹介されていて、私が見たのはその中でもほんの一部ですが、殆どの公演の存在は知っていたなあと上演史を振り返って懐かしく思いました。まだ大阪公演は半ばにも達していませんが、チケットの売れ行きはかなりいいようです。この勢いでウィーン版にも沢山お客さんが来て下さることを願っています。

  9. 観てきました!
    最前列、塩田さんの頭をみながらの観劇でした(笑)

    spaさんのブログでMátéトートの魅力にはまった方々の
    コメントを嬉しく拝見していましたが、ようやく間近で
    観ることができて幸せです。
    日本語は歌の部分はほとんど完璧といっていいぐらいで、
    外国語でここまできれいな発音で感情移入して歌えるなんて
    本当にすごいと思います。
    間近で観ると目線がとてもよくわかり、MátéがElisabethを
    見つめる時には本当に愛情たっぷりで、瀬名さんが羨ましい!
    少年Rudolfとの時は本当に優しい目になって、
    闇広の時は狡猾な感じがよく出ていました。
    フランス病に罹って倒れたとき、Mátéが「最後のチャンス」と
    誘っているのにElisabethが「あなたとは踊らない」と言った
    時の悲しそうな目…行きたい人はいっぱいいるのに。
    と、思わず心の中で叫んでしまいました。
    そんな目の演技を歌とともに楽しめて幸せな時間でした。

    出演者と目が合うような位置ではないのですが、
    マダム・ヴォルフとは目が合ってしまい、
    ちょっと恐かったです(笑)
    Elisabethがハンガリーに行ったときに娘が亡くなりますが、
    その際に棺桶に入れられた人形が目の前でみると
    ちょっとどうかという人形でした。
    それだけは何とかした方がいいかもと思います。

    ところで、今度のWien版では「愛と死の輪舞」がはいるとのことですが、そうなるとルドルフの棺にすがって嘆くElisabethにTodが言う台詞もかわるのでしょうか?
    spaさんのブログでWien版についてのサイトを紹介してくださったので拝見しましたが、その点はよくわかりませんでした。

    日本語版は今日の1回だけの観劇ですが、
    10月のドイツ語のコンサートは3回観に行きます!
    日本語もよかったですが、やはりドイツ語の響きの方が
    好きだと改めて思います。
    でも、とっても満足した今日の観劇でした。
    まったくもって「主観的な」話を長々と失礼しました。

  10. Märzさん、情熱的な観劇記、楽しく拝見しました(笑)。最前列とは凄いですね! Mátéの目力にノックアウトされたMärzさんの高揚したお気持ち、追体験させて頂きました。彼の視線をまともに受けている瀬奈さんや春野さんがどう感じておられるか、聞いてみたいものです。来日公演も楽しみですね。Máté、一旦帰って稽古してから再来日するのでしょうか。

    『愛と死の輪舞』がウィーン版にどういう影響を及ぼしているかは、実際見てみないと分かりませんが、Rudolfの棺にすがって死を望むElisabethをDer Todがつっぱねる流れは変わらないと思います。改訂版の脚本が早く出て欲しいです! その前に早く観に行きたいものです。

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