4 Stars One World of Broadway Musicals(2013年6月)

2013年夏は二大来日プレミアムコンサートのおかげでミュージカル祭りの様相を呈しています。そのうちの一つ、”4 Stars One World of Broadway Musicals”を2013年6月に梅田芸術劇場で見ました。

4 Stars One World of Broadway Musicals

Lea Salonga(レア・サロンガ)
Ramin Karimloo(ラミン・カリムルー)
城田 優
Sierra Boggess(シエラ・ボーゲス)
演出:Daniel Kutner(ダニエル・カトナー)
編曲・アレンジ・ミュージック スーパーバイザー:Jason Robert Brown(ジェイソン・ロバート・ブラウン)
ピアノコンダクター:Fred Lassen(フレッド・ラッセン)

まず目に飛び込んできたのは、上空から舞台中央に向かって斜めに突き刺さるナイフのような電光板。赤く光る”4 Stars”の文字が繰り返し流れていきます。オーケストラは舞台上に足場のように組まれたセットの上に配置されていました。セット正面の電光掲示板には、作品名と曲名、キャストのトークの訳が映し出されます。下手にはピアノ、上手には床より一段高い円形のミニステージが設けられていました。ステージ側面にはパネルライトが光っています。指揮とピアノのFred Lassenが定位置につき、チューニングが終わるといよいよコンサートの始まりです!

Act 1
All that Jazz (Chicago)

オープニングは”Chicago”の”All that Jazz”。何処かコミカルな前奏が流れ始め、まずは下手から黒の半袖にパンツ姿のLeaが現れました。”Come on, babe”と余裕の笑みを浮かべて歌い始めると、客席のテンションが一気に上がりました! 続いては上手からSierraが登場。白いノースリーブに、黒いスカートのフロントの合わせの部分からすらりと伸びた長い脚がセクシー! 舞台上のミニステージに片足をのせて大胆に決めるSierra、クリスティーヌのイメージとは180度違います! 女性陣にそれぞれ黒と白のスーツに身を固めた城田さんとRaminが加わり、豪華なショーの開幕です!

Oh, What a Beautiful Mornin’ (Oklahoma!)

続いては”Sound of Music”を世に送り出したRichard Rodgers(リチャード・ロジャース)とOscar Hammerstein II(オスカー・ハマースタイン2世)のコンビによる、ミュージカルの代名詞的な作品の数々がメドレーで登場。トップバッターの城田さんの爽やかで素直な歌声に、朝日に輝く広大な草原が目の前に浮かびました。”Oh, what a beautiful Mornin’, Oh, what a beautiful day”のサビの部分が、頭の中で繰り返し流れています。

Getting to Know You (The King and I)

城田さんに絡むSierraがとてもキュート! 日本語で歌うサービスもありました。上質のベルベットのような声の伸びやかさが驚異的! はっきりした発声で歌う日本語が、昔懐かしい歌のお姉さんを思わせました。

Love, Look Away (Flower Drum Song)

“Flower Drum Song”は知らない作品でした。パンフレットによるとサンフランシスコのチャイナタウンを舞台に中国系移民の日常を描いた1958年の作品で、2002年の再演時にLeaが主演を務めたそうです。Leaが歌う表情に引き込まれました。

Some Enchanted Evening (South Pacific)

古き良きミュージカルサウンド、Raminの声が優雅に響きました。

You’ll Never Walk Alone (Carousel)

Lea、Sierra、城田さん、Raminのカルテットで聞かせるこの歌、1幕の中でも最も印象に残った曲の一つです! 思い思いに楽しみながら歌い揺れる4人の個性が一つになって創り上げられた曲の素晴らしさに、文字通り感動が溢れて、いつしか目に涙が溜まっていました。いつまでも4人のハーモニーを聞いていたい、曲の終わりが来て欲しくないと真剣に思いました!

Guys and Dolls (Guys and Dolls)

マンハッタンのギャンブラーと彼らを取り巻く女性達の恋物語、”Guys and Dolls”。賑やかなサウンドに客席全体からの手拍子が加わり、Raminも城田さんもノリノリ! 楽しすぎです! 千秋楽では遅れてきたお客さんに舞台の上から突っ込みを入れたり、ショーの枠からはみ出さんばかりの二人でした!

Part of Your World (The Little Marmaid)

Raminと城田さんがディズニーの二人のプリンセスがここにいると紹介。まずはセット下手の上方に腰掛けたSierraに海をイメージさせる青いスポットライトが当たり、上空から降りてきた電光板には水色やピンク、ラベンダーといった淡い色で泡や波のようなパターンが映し出されました。外の世界に憧れる人魚姫の思いが溢れんばかりに伝わる美しい歌声に聞き惚れました。

Reflection (Mulan)

続いては上手にLeaが登場。”Mulan”は見たことがなかったので、どういう場面の歌なのかは後で知ったのですが、Leaの声からは大空に羽ばたくような雄大さが感じられました。気品のある鮮やかなブルーの衣装が素敵でした。

A Whole New World (Aladdin)

誰もが聞いたことのある名曲が、城田さんのアラジンとSierraのジャスミン姫の組み合わせで登場。二人と一緒に空飛ぶ絨毯に乗っているかのような、高揚した気分になりました。

Another Hundred People (Company)

ここからはStephen Sondheim(スティーヴン・ソンドハイム)コーナー。上手から歌いながら登場したLeaの軽やかな超早口に圧倒されました!

Being Alive (Company)

Raminの”Being Alive”、彼の美声が生きる名曲。遠い昔に観た山口祐一郎さん主演の『カンパニー』を思い出しました。この作品でシルビア・グラブさんを初めて観て、何て上手い人がいるのかと感激し、パンフレットでプロフィールを読んだことを今でも覚えています。東宝版『エリザベート』初演でマダム・ヴォルフに抜擢された時には、彼女ならぴったりと思ったものです。

Johanna (Sweeney Todd)

城田さんを初めて観たのはこの『スウィーニー・トッド』。長身イケメンで歌もなかなか上手い彼は何者だろうと思った当時を懐かしく思い出しました。経験を積んで深みを増した城田さん、ゆったりとした静かな波のようなメロディーに乗せてJohannaへの秘めた思いを歌い上げる城田さん、とても素敵でした。

No One is Alone (Into the Woods)

SierraとLeaのデュエットに、城田さんとRaminが後から加わり、豪華なカルテット再び。”Into the Woods”は未見ですが、こうして続けて聞くと各作品の根底に流れるSondheim節がよく分かります。美しいメロディーは、それを表現できる歌い手を得た時にこそ、本当の魅力を見せてくれます!

You are Music (Phantom)

ここからはファントム・シークエンス。Andrew Lloyd Webber(アンドリュー・ロイド=ウェバー)版ではなく、Maury Yeston版”Phantom”の曲が流れたのには驚きました! ”You are Music”はファントムがクリスティーヌに歌の稽古をつける曲。「ドレミファソーファレーファミー」のメロディーは、一度聞くと耳に残って離れません。正直退屈な歌だと思っていたこの曲に、城田さんとSierraが命を吹き込んでくれました! Sierraの鈴を振るわせるような声が響かせるドレミの音の何と美しいこと! クリスティーヌをリードする城田ファントムの、次第に熱く高ぶってくる感情に、クリスティーヌと共にぐいぐいと引き込まれる思いがしました。城田さんの声には映画版『オペラ座の怪人』でファントム役を演じたジェラルド・バトラーのような、テクニックを超えた部分で人の気持ちをつかみ取るような魅力を感じました。この組み合わせの”Phantom”が見たい!

‘Til I Hear You Sing (Love Never Dies)

“The Phantom of the Opera”の続編、”Love Never Dies”のオリジナルキャストのRaminが、ここ日本で歌ってくれる奇跡!! CDとは違う静かなアレンジでした。

The Phantom of the Opera (The Phantom of the Opera)

コンサート前日にブルーレイで予習していましたが、やはりライブは格別です! パワフルで人を惹きつけて止まないRaminとSierra、歌い手として最高の時期にこうして来日してくれたことに感謝です!

All I Ask of You (The Phantom of the Opera)

Sierraと城田さんのデュエットはロマンティックな雰囲気たっぷり! ここでもSierraの美声に天に昇るような気持ちになりました。女子的には逆だと思いますが、Sierraと声を合わせる城田さんが羨ましくなるくらいでした(笑)。曲が終わり、Sierraの手に口づけして去る城田さんと入れ替わるように、Raminの怪人が再び登場します。

The Music of the Night (The Phantom of the Opera)

舞台にそのまま残っていたSierraにまとわりつくように、Raminの歌声が響きました。夢見心地のクリスティーヌの背後に立つ怪人の姿は、まさにこれぞファントムの世界! 静かに消えゆく怪人の歌声と共に、1幕が終了しました。

Act 2

Overture (Les Misérables)

セットの奥からオレンジ色のライトがせり上がると同時に、上空から三色旗カラーに染まった電光板が降りてきました。ドラムの音からオケの演奏で”Do You Hear The People Sing?”(民衆の歌)が始まるとすぐに観客も手拍子で応え、一緒にコンサートを盛り上げる気満々で2幕開始!

On My Own (Les Misérables)

上手のセット上方にLeaが姿を現して歌い始めた”On My Own”は、何と日本語! 途中から英語になると、歌に更に深みが増したように感じました。ラストは「愛してる、愛してる」と再び日本語を披露してくれました。

Bring Him Home (Les Misérables)

次はLeaと反対側、下手のセット上方にいるRaminの出番。レミゼの25周年コンサートではアンジョルラスだったRamin、この若さでバルジャン役までやっているとは、ただただ驚かされるばかりです! 高音が美しくドラマティックなバルジャンでした。

I Dreamed a Dream (Les Misérables)

ワインレッドのロングドレスに同色のロングスカーフを身につけたSierraが歌う”I Dreamed a Dream”、歌っている最中の目力が凄かったです! 元々の歌の力も素晴らしいですが、それを一本のドラマとして聴かせるSierraの力量に圧倒されました。観客の拍手も一際大きかったように思いました。

レミゼ・シークエンスが終わると、4人が舞台に登場し、お互いにルーツを紹介し合いました。スペイン人の母と日本人の父を持つ城田さん、イラン生まれでロンドン在住のカナダ人Ramin、フィリピン生まれのLea、NY生まれのNY育ちのSierra、この4人が4つの歌を5つの言語で歌うという国際色豊かなコーナー。

Isabel (Ill Divo’s Second Album “Ancora”)

トップバッターの城田さんの”Isabel”、美しく切なく激しい歌に心を奪われました! 歌詞はスペイン語だったのでしょうか? ご存じの方は多くはないと思いますが、90年代にイタリアンポップス界で活躍したMarco Masiniを思わせる一曲でした。城田さんの情熱的な歌声、もう一度聴きたいです!

Reminder (Mumford & Sons’ 2nd Album “Babel”)

Raminのコンサート活動のことは今回紹介されるまで知らなかったので、ギターの弾き語りにはびっくりしました。しかも日本語! 少し前までファントムやバルジャンだったRaminがカントリー調の曲を歌っている幅の広さ、一つのコンサートで多彩な顔を見せてくれたRaminとそれを可能にした演出・構成の妙に感じ入りました。城田さんとは違った形の情熱溢れる歌唱。途中でその城田さんも加わり、Raminのギターに合わせて熱く歌い上げた二人でした。ピアノの傍で楽しそうに二人の歌に耳を傾けていたLeaとSierra、チームとして通じ合うものがあることを感じさせてくれました。

Ikaw (The Soundtrack Album of “Ikaw”)

「二人の後じゃ歌えないわ!」と日本語でぼやきながら立ち位置につくLea。”Ikaw”はフィリピン映画の主題歌で、タガログ語で「あなた」の意味だそうです。歌の内容は分からなくても、Leaの歌からは大きな川のような愛を感じました。メロディーが似ているわけではないですが、ふと美空ひばりの『川の流れのように』を思い出しました。

Quando Me’n Vo (La Bohéme)

クラシックの素養があるというSierraが、オペラ『ラ・ボエーム』からイタリア語で『私が町を歩くと』を披露。ピアノのFredに帽子を被せたり、しなを作って見せたり、ビブラートがかかった長音の途中で突然マイクを口元から離して肉声を聞かせたりと、コケティッシュな魅力を振りまくSierraでした。

Der letzte Tanz (Elisabeth)

大阪公演では出演がなかった城田さんのトート。友人達が大絶賛していた彼のトートをようやく観ることが出来ました。もっと艶やかでセクシーな演技を想像していましたが、深い低音のクールな歌声で硬質なトートでした。歌だけよりも、作品の中での立ち位置を見てみたかったです。

Why, God, Why (Miss Saigon)

お待ちかねの”Miss Saigon”。最初のRaminの”Why, God, Why”の熱唱には、ただただ全身で聴き入ってしまいました!

Last Night of the World (Miss Saigon)

RaminとLeaのロマンティックなナンバー。Leaは全体的に低音主体で歌っている印象を受けました。その分大人のラブソングのイメージが強い気がしました。

I’d Give My Life for You (Miss Saigon)

この曲のLeaの迫力、彼女の表情、目力の前には言うべき言葉が見つかりません!!

Bless the Lord (Godspell)

“Miss Saigon”のシリアスな空気を一変するかのような小気味いいサウンドで始まった”Bless the Lord”。観客の手拍子も入り、城田さん、Ramin、Sierra、Leaの4人が会場を再び沸かせました!

Live Out Lord (A Litte Princess)

Sierraの可愛らしい歌声が小公女の世界にぴったり。愛らしい曲でした。

Opening: The New World (Songs for a New World)

今回のコンサートのアレンジを担当したJason Robert Brown(ジェイソン・ロバート・ブラウン)の楽曲。この曲も今まで気がつかなかった魅力を今回のコンサートで発見した歌となりました。4人の個性的な男女がそれぞれの持つ力をぶつけ合い、高めあって生まれるサウンドに、新しい世界の幕開けを感じました!

Still Hurting (The Last Five Years)

しっとりしたピアノとSierraの歌、静かなバーで流れていそうな大人の雰囲気がありました。

Moving Too Fast (The Last Five Years)

直前のナンバーとは全く違ったスピード感のある元気のいい歌をRaminがノリノリに歌っていました。

Somewhere (West Side Story)

ラストナンバー。LeaとSierraのハモリが印象的でした。4人で何度も繰り返した”Somewhere~”が頭の中でリピートし続けました! 4人の歌い手と共に素晴らしい演奏を聞かせてくれたオーケストラにも大感謝です!

一人ずつの挨拶は字幕付き。観客全員が分かるようにとの配慮かもしれませんが、彼ら自身がコンサートの時間を経て産み出した言葉ではなく、初めから用意されていた言葉を話すというスタイルは、やや残念な気もしました。

カーテンコールは”La Cage Aux Folles”の”The Best of Times”。最高の時間がいつまでも続いてくれればと願うかのように、いつまでも拍手が鳴り続けていました。

コンサートだけで終わってしまうのが勿体ない素晴らしい内容、CDやDVD化のお知らせがなかったのが本当に残念です。権利処理や制作費の問題があるとは思いますが、この夢のコラボレーションを形にして残してくれれば、そこからまたファンの裾野が広がる可能性はあると思います。また海外のファンは来日するのは難しいかもしれませんが、CDやDVDなら買ってくれるのではないでしょうか。せめて宣伝映像だけでもアーカイブ化して、いつでも見られるようにしてもらいたいものです。

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