VBWの新作ミュージカルは2年半後?

2011年1月16日付けで、オーストリアの新聞Der Standard紙にVereinigte Bühnen Wien(VBW、ウィーン劇場協会)の総監督Thomas Drozda氏のインタビューが掲載されました。VBWが所有する3つの劇場(Theater an der Wien、Raimund Theater、Ronacher)の財政事情についての質問が中心になっています。

Drozda氏はVBWの総監督に就任する以前は、Burg Theater(ブルク劇場)の支配人でした。法的に財政が保証されたBurg Theaterとは異なり、VBWは収入の大半をチケットの売り上げに頼っています。国からの補助金はあるものの、過去3年間に2度にわたって大きく削減を受けており、VBW総監督の職は、Burg Theaterのそれよりもストレスが多いそうです。国からの補助金約3700万ユーロのうち、Theater an der Wienのオペラに2100万ユーロ、オーケストラに500万ユーロ、1100万ユーロがRaimund TheaterとRonacherのミュージカルに配分されています。

「Raimund TheaterとRonacherは”Ich war noch niemals in New York”と”Tanz der Vampire”再演の成功でほぼ100%座席が埋まっているにもかかわらず、1600万ユーロもの補助金が必要なのか?」という質問に対しては、「VBWのオーケストラの費用は500万ユーロ。RSO(Radio Symphonie Orchester Wien、ORF交響楽団)には1000万ユーロ、Wiener Symphoniker(ウィーン交響楽団)には1300万ユーロかかっている。比較して判断して欲しい」と反論しています。Standard紙は更に意地悪く「ミュージカルにワーグナーのオペラをやるような大きなオーケストラは必要ないと思うが?」と突っ込みますが、「年に600回公演する一級のオーケストラに対しての500万です」と防戦。「Raimund TheaterとRonacherの収支を均衡させるにはどうすれば良いか」という質問には、「我々は1800席の理想的な劇場とそれに見合った市場を持っていません。私達は1000席の歴史的な建物で公演を行っています(注:Raimund Theaterは約1180席、Ronacherは約1000席)。Ronacherはとても美しい劇場で、アーティストも観客も驚嘆しています。究極の質問は、『ウィーンにミュージカルは必要か?』ということです。高い水準と国際的なプレゼンスのためにミュージカルを維持したいと思うのであれば、資金が必要です。観光客にとっては、ミュージカルはウィーンを訪れる決定的な動機となります」と答えています。

自分達の存在意義を常に正当化し続けることに飽き飽きしているというDrozda氏は、海外での成功を初めとしたポジティブな面も引き合いに出しています。曰く「去年は3つの劇場で60万人の観客が熱狂し、2年前には3社だったスポンサーが今では30社以上になっています。このことは我々の品質に対する証明になります。また海外では非常に成功を収めています。たとえば日本では我々はトッププレイヤーです。また”Elisabeth”は世界中で830万人を動員しました。これは”Chorus Line”を上回り、”Chicago”に迫るものです」。「”Elisabeth”は1992年の作品ですが、今後の予定は?」と尋ねるStandard紙に対して、「私達が新しいオリジナル作品を必要としているのは明白です。成功が約束されているプロジェクトがあります。次の初演は2年半以内に行われると考えています。更に私達は韓国の市場を獲得しようとしています。また大歓声で迎えられた上海万博への出演が何らかの形に発展することを見守っています。こうした海外での存在感の大きさを鑑みると、こうしたマーケティングツールを放棄することは、正しい考えとは言えないでしょう」と興味深いコメントがなされています。

Der Kultur-Channelは「今のところ当地における革新なるものは、”Tanz der Vampire”に近日中にフライングシーンが挿入される予定であることや、秋からは”Tanz der Vampire”に替わって”Sister Act”が始まり、VBWの2つの劇場はドイツからの輸入ミュージカルで占められてしまうことに留まっている」と皮肉っています。その後に来る2012年は、”Elisabeth”上演20周年記念の年。さて、ウィーンでの再々演はあるのでしょうか? はたまた来日公演は? 各国の出演者を招いての10周年記念コンサートのようなイベントがあるかどうかも気になります。

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