Zorro観劇記(2015年7月)

2015年7月の旅、ドイツ・Tecklenburg(テクレンブルク)の野外劇場Freilichtbühne Tecklenburgを訪ねました。

のどかなTecklenburgにも変化が起こっています。劇場に続く坂道の麓にあるレストラン、近年改装したばかりだったはずですが、店名が変わって内装も一新されていました。今シーズン既に一度来ていたドイツの友人曰く、以前は終演後の一杯が楽しめたのに、今では閉店が早くなってしまったそう。その代わりに劇場近くの別のレストランが遅くまで開いているようです。

広場に面してあった個人経営の食料品店がフローズンドリンクショップに変わった一方、少し歩くと日曜も開いている小さなスーパーがあり、品揃えも豊富で価格も普通でした。以前は法律により日曜は土産物屋以外の殆どの店が閉まっていたドイツですが、観光地では大分規制が緩くなってきたようです。

最初のプログラムは今回がドイツ語圏初演となる”Zorro”。2011年3月の東日本大震災直後に大阪公演を観た記憶が思い起こされました。あの時はキャストの熱演に沈んだ気持ちが随分慰められました。Tecklenburgでも陽気に鳴り響く”Bamboleo”の歌声とダンスが観客を熱く揺さぶっていました。

Zorro
Diego: Armin Kahl
Ramon: Kasper Holmboe
Luisa: Maxine Kazis
Inez: Patricia Meeden
Garcia: Benjamin Eberling
Alejandro: Reinhard Brussmann

Diego/Zorro役のArmin Kahl、とても良かったです! 筋肉質のがっしりした体格に支えられた豊かな声量とぶれのないしっかりした声質に、ヒーローの頼もしさを感じました。キャストが発表されたときには誰だろう?と思っていたのですが、出来る! ドイツ語圏ミュージカル界にはまだまだ素晴らしい人材がいるのだなと思わせてくれました。Pia Douwesのソロコンサートのゲストにも決まったそうで、これからの活躍が楽しみです。またTecklenburgにも登場しそうな気がします。Ramon役のKasper Holmboeも美声の持ち主。1幕が殆ど台詞なのが勿体ないと友人が嘆いていました。Luisa役のMaxine Kazisはまだ新人らしい細身の美人。昼間入った雑貨ショップで偶然見かた時には、サングラスに黒のショートジャケットと白い細身のパンツ姿で、美人オーラがバンバン出ていました。狭い街を歩いていると役者さんに出くわすことも多いのが、Tecklenburgの良いところです。物語の冒頭、この3人の子供時代を子役達が演じていました。RamonとDiegoは実の兄弟という設定で、弟にも関わらずDiegoが父の跡継ぎに選ばれてスペインへの留学が決まったことに、兄Ramonが激しく嫉妬を覚えるというエピソードがありました。

Inez役のPatricia Meedenは歌もダンスも情熱たっぷり、セクシーに激しく踊る姿といい、男前な姉御っぷりといい、いい女オーラが泉のごとく噴出していました。日本版ではそんな素振りはなかったと思うのですが、Diegoとは明らかに良い仲で、Diegoを迎えにやって来たLuisaとの間に女同士の火花が散っているように見えました。幼なじみのLuisaとDiegoの距離が縮まるにつれ、Diegoの心が自分から離れていくことを感じるInezは、やがてBenjamin Eberling演じる恰幅と調子のいいGarciaに惹かれていきますが、こんな美女がお腹の出たおじさんと・・・(失礼)と思うと、何だか勿体ないような気がしてしまいました。とはいえInezに必死でアタックするGarciaは可愛らしかったです。Alejandro役のReinhard Brussmannは、”Les Miserables”のWien(ウィーン)初演時のJean Valjean。Wien版のCDを聴いたことがない方でも、”Les Miserables 10th Anniversary Concert”にオーストリア代表で出演している彼の歌を耳にしているかもしれません。どのキャストも力強い魅力的な声で情熱的なZorroの世界を盛り上げてくれました。野外舞台もZorroの世界にぴったりの雰囲気で、観客もノリノリの素晴らしい公演でした。

Booking.com

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.




このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください