ウィーン版ミュージカル エリザベート20周年記念コンサート大阪公演感想

怒濤のElisabeth週間に続き、しばらくの間朝から晩まで全く時間が取れない日々を過ごしていたので、お返事とブログの更新が滞ってしまいました。沢山コメントを頂いたので、20周年記念コンサート大阪公演全体の感想をもってお返事に代えさせていただこうと思います。

『ウィーン版ミュージカル エリザベート20周年記念コンサート ~日本スペシャルヴァージョン~』大阪公演(2012年10月15日~22日)、結局5回も行ってしまいました。初日の簡単な感想はこちらをご覧下さい。

大阪組の方々が多く行かれた10月20日、21日の週末3回公演はコンプリートしました。気分は劇場の住人、オペラ座の怪人のようでした(笑)。連日休み無しの公演のせいか、特に20日の昼夜公演のMátéは、出てきたときに「大丈夫!?」と思ってしまうほど高音が出ておらず、声の伸びも悪かったですが、翌日は打って変わって調子良くなっていました。といってもやはり高音はセーブしていた感があり、9月の東宝版の方がエネルギッシュだったと言う友人達の感想に同感でした。働き過ぎで疲れが出たのかもしれません。

Mayaさんは本当に今回でElisabeth役を引退されるとは思えないほど、まだまだ絶好調の様子! Maxパパとじゃれ合う場面のキュートなこと、心揺さぶられる”Ich gehör nur mir”(私だけに)、精神病院の場面ラストのロングトーンの素晴らしさ、全編を通して感動の連続でした! 土曜日の夜公演の出だしはややお疲れ気味なのかと思いましたが、物語が進行するにつれてどんどん良くなって、最初のうっすらした不安は跡形もなく吹き飛びました。カーテンコールで、この公演でLuigi Lucheni役のBruno Grassiniが”Elisabeth”出演1000回を迎えたことがMayaさんから紹介されました。「渡す物があるからちょっと待ってて」と白いガウン姿で跳ねるように袖に一旦引っ込んだMayaさん、すぐに赤と黄色の素敵な花束を抱えて戻り、Brunoに手渡していました。他の出演者達も全く知らされていなかったそうで、文字通り劇場全体がサプライズに包まれた夜でした。楽屋口では花束を抱えたBrunoが、いつもに増して大勢のファンに取り囲まれ、サインや写真に笑顔で応じていました。2007年に大阪で1000回記念公演を迎えたMayaさんに続き、Brunoも同じ大阪で記念すべき回を迎えたこと、そのどちらの公演にも立ち会うことが出来たことは、個人的に忘れ得ぬ思い出になりました。

Rudolf役のLukas PermanはMarjan Shakiとデュオ”Marjan & Lukas”を結成し、活躍の場を歌手活動にシフトしていますが、今回の来日公演への参加には本人の強い希望があったそうです。初日の客席にはMarjanの姿もありました。近年東宝版のルドルフはあまり多くの場面には登場していませんが、来日公演は限られたキャストで行われているせいか、Rudolf役以外でもLukasの姿があちこちで見られました。Rudolf役者がアンサンブルとして”Milch”(ミルク)やカフェの場面で登場するのは良く知られていますが、Possenhofen(ポッセンホーフェン)での親戚の集まり、皇太后と取り巻き達の乗馬シーン、精神病院訪問シーン(しぼんだ地球儀の風船を抱えている患者役です)等にも登場しています。回数を重ねるにつれ、隠れLukasを探す楽しみも増えました(笑)。

Franz-Joseph役のAndré Bauerは2007年の”Elisabeth”来日公演には参加していませんでしたが、コンサートでの来日を経て、今回遂に皇帝役として本公演に登場しました。Andréは”MOZART!”にLeopold役で途中参加した頃から知っていますが、正直どの役も上手いけれどもう一つ存在感に欠ける印象がありました。しかし今回のAndréはひと味違います。パンフレットにあるように彼も皇帝役はこれで最後と考えているからでしょうか、役への思い入れが一際伝わってくる歌声が心に残りました。

今回のコンサート版、実は2007年の来日公演とはメンバーがかなり入れ替わっています。Erzherzogin Sophie役のGabriele Ramm、Herzog Max in Bayern役のThorsten Tinney、Herzogin Ludovika/Frau Wolfの2役を演じるMaike Katrin Merkelは初お目見え。Gabriele Rammはドイツ・Essen(エッセン)公演でもSophie役を演じています。Maike Katrin MerkelもBerlin(ベルリン)公演でHerzogin Ludovika/Frau Wolf役を経験済みです。Thorsten Tinneyは”Elisabeth”への出演は初めてだと思いますが、パパ役はなかなかはまって良い感じでした。Gabriele Rammの皇太后はもう少し迫力があってもいいかなと思わないでもないですが、ちょっと贅沢な感想だったでしょうか。LudovikaとFrau Wolfは日本では別の役者さんが演じていますが、オリジナル版では2役を兼ねることになっています。現在Raimund Theaterで上演中の再々演版では、”Rudolf”でMaria Gräfin Larischを演じていたCarin FilipčićがLudovika/Frau Wolfを演じています。以前はどちらかというとスリムな女優さんが演じていた役ですが、MaikeもCarinも恰幅が良いタイプなので、役のイメージが変わってきたように思えました。とはいえMaikeのパワフルな歌声は聴き応えたっぷり。セクシーな場面を大いに盛り上げてくれました。

2007年公演にも参加したメンバーといえば、Martin Pasching。東京公演で怪我したMátéのカバーとして、Der Tod役を演じた彼をご覧になった方もいらっしゃることでしょう。たまたま”Elisabeth”初観劇の友人と彼のDer Tod出演回を観たところ、友人は彼のDer Todをいたく気に入っていました。今回は茶目っ気たっぷりのGraf Grünne(グリュンネ伯爵)役で、着実にファンを増やしているようです(笑)。今年3月に観たドイツ・Bremen(ブレーメン)の”Elisabeth”ツアー公演にも出演していました。

前回はオーケストラメンバーも来日していましたが、今回は指揮者のKoen Schoots氏以外は日本で結成されたオーケストラとあって、初日を観るまではかなり心配していました。が、全くの杞憂でした! Levay御大の流麗なメロディーが、厚みのある音に仕上がっていて、パワフルなウィーンキャストの声をしっかり支えているのには大感激しました! 昨今チケット代が上がるのに反比例してミュージカルのオーケストラがどんどん小編成になり、音が痩せていくことを実感していましたが、久々に豊かな音楽のライブ感を思う存分楽しむことが出来ました。これぞ”Elisabeth”の音です!

現在Wienで上演中の再々演版で新たに取り入れられた”Rondo-Schwarzer Prinz”(愛と死の輪舞)をMayaさんとMátéのコンビで聞けたのも新鮮でした。余談ですが、Musical Reviews掲載のLevay御大のインタビュー記事によると、今までドイツでこの曲を聴いたことがなかった御大が、今年7月にドイツ・Regensburg(レーゲンスブルク)のコンサートで若い歌手が歌うのを偶然聞いて、この曲を再々演版に使うことを思い立ったそうです。ElisabethとDer Todのデュエットに仕立て上げたのは、演出のHarry KupferとKunze御大のアイディアだったそう。Kunze御大が新たに書き上げた歌詞に基づいてオーケストレーションをし直し、メールでやりとりしながら曲が完成したのは、なんと再々演版初日の6日前だったそうです。今回のツアー公演も当初は従来版で稽古していたそうですが、来日2日前に急遽この曲の挿入が決まったと聞きました。カーテンコールのメドレーが新しいものになったのは、オリジナル版のファンにはちょっと寂しいことでしたが、本場以上に豪華なキャストと本場ではもう使われないオリジナルの衣装をこの日本でもう一度心に焼き付けることが出来たのは、ウィーンミュージカルファン冥利につきます。

カーテンコール直後に隣りにいた若いカップルの男性が「もう一度観たい!」と大興奮していたこと、劇場を出る人波のあちこちから興奮冷めやらぬ感想の声が聞こえたこと、リピーターチケット売場に黒山の人だかりが出来ていたこと、大勢のファンに埋め尽くされた楽屋口前。こうした全てが、真に素晴らしい芸術は言葉の壁を乗り越えて人々の心に伝わることを物語っていたと思います。”Elisabeth”来日公演の感動が観劇した全ての方の心に灯り続けることを願いつつ、大千秋楽を迎えたいと思う次第です。

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2 Comments

  1. 大阪公演総括、ありがとうございます!
    spaさんからのメッセージがしばらくなかったので、
    どうしてらっしゃるのかなと思っておりました。

    感想を読みながら、改めて観劇した時の興奮・感動が
    よみがえってきました。
    何回かコメントさせていただいた時に書いたことも含め、
    spaさんの感想を読んで、自分が感じたことも間違いでは
    なかったということがわかり、安心しました(笑)
    日本でまたこれを観ることができるとは思っていなかっただけに、本当に貴重な貴重な時間でした。

    主要メンバー以外の方々についてもコメントは、
    大変勉強になりました。
    "Rondo-Schwarzer Prinz"の裏話も興味深かったです。
    私はこの曲がかなり気に入りました。
    これが入ったウィーン版のCDも注文しましたので、
    発売されたら送ってくるはずです。
    一緒に何枚か注文したので、またドイツ語ミュー寺からCDの
    コレクションが増えてしまいます。

    東京公演にも行かれているのでしょうね。
    また、感想をお待ちしております。
    私は東京までは行けないので、一度だけですが、
    フランス語版のR&Jを観に行きます。

  2. Märzさん、コメントがまたまたかなり遅れてしまい、申し訳ありませんでした。"Elisabeth"来日公演東京大千秋楽の直前からちょっと調子が悪かったのですが、公演終了後気が抜けたのか風邪を引いてしまい、ブログもしばらくアップ出来ませんでした。周囲の話を聞くと、何故か来日公演終了後に体調を崩した人が多いようです。"Elisabeth"に全てを捧げてしまったのかも(苦笑)。

    東京公演は大千秋楽のみの観劇でしたが、東京の友人達の話を聞くと、"Elisabeth"旋風は東京でも相当な勢いで吹き荒れていたようです(笑)。特にMayaさんに魅了された人の多いこと! "Elisabeth"はこの先何年も上演され続けると思いますが、Mayaさんと同時代を生きて、彼女が演じるElisabethをライブで観ることが出来た体験は、まさに今このときならではのもの。今回観劇した方々の心の中に、輝く宝石のような思い出として残り続けることを願っています。

    ウィーン版の新CD、11月8日頃からVBWの店頭や通販では取り扱いが始まったそうです。Märzさんの手元にもそろそろ届くのではないでしょうか。私は近々ウィーンで入手する予定です。20周年の締めくくりに現在のウィーン版ははずせません!

    フランス語版のロミジュリも2回観ました。なかなか良かったですが、やはり私にとってはウィーンキャストの来日の方がより心に深く残る出来事でした。

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